翻訳|Altamira
旧石器時代の絵画で有名な洞窟。スペイン北部、サンタンデル西方サンティヤナ・デル・マールにある。1879年、地元のサウトゥーラの5歳の娘が天井壁画を発見したが、これが旧石器時代の絵画として認められるには、フォン・ド・ゴームなど他の洞窟絵画が発見されるのをまつなど20年以上を要した。20世紀の初め、フランスの神父で考古学者のブルイユは、オーリニャック期から始まり、単彩の絵はマドレーヌ文化前期、多彩色の大天井壁画はマドレーヌ文化後期と編年した。その後フランスのルロア・グーランは洞窟内絵画全体を考察し、その年代を訂正した。彼によれば、洞窟は神域のような「聖所」として使用されたと考えられるが、使われ始めた初期のころ(ソリュートレ文化~マドレーヌ文化前期)に奥部にある黒線画が描かれた。ついでマドレーヌ文化中期、入口部に近い所にある多彩色の大天井壁画が描かれ、さらにマドレーヌ文化後期には奥部にマンモスを伴ったウマ、バイソンの構図が描かれた。この図案はより北方からの影響を受けたと考えられる。このマンモスはスペインにおける唯一例である。なおマドレーヌ文化前期層は放射性炭素C‐14によって、1万3500年前の年代が与えられた。この洞窟は1985年、世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[山中一郎]
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