日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
プロムナード・コンサート
ぷろむなーどこんさーと
promenade concert
大衆的な軽い音楽の演奏会。プロムナードは散歩とか遊歩場の意で、その名のとおり、17世紀後半に「ガーデン」とよばれる会場で行われた演奏を、聴衆が散歩をしながら、あるいは立ったままで聞くような音楽会をさした。のちには劇場などで催されるワルツや序曲、ポピュラーな曲目を中心にした演奏会もこの名でよぶようになった。この種の演奏会の最初は、フランスでミュザールPhilippe Musard(1793―1859)が主宰するポピュラー音楽の演奏会に刺激されて、1838年ロンドンのライショーム劇場で開催された「ミュザール風のプロムナード・コンサート」であるとされている。1840年にはミュザール自身渡英し、この種の演奏会を行い好評を博した。以来、世界各地でこの名が使われているが、今日では「ボストン・ポップス」の名で親しまれているボストン交響楽団のプロムナード・コンサートが1885年からの歴史をもつ。
[寺崎裕則]