一定期間に集中的に演奏やオペラなどの上演が行われる祭典的な催し。第二次世界大戦後盛んに行われるようになった。その多くは、国や放送局の主催ないしは大幅な財政援助により催されている。
音楽祭はその目的などにより次のように分類される。(1)国際的に著名な音楽家を招集し、特定の場所、都市で連続的に演奏会、オペラの上演などを行うもの。(2)特定の作曲家の作品を集中的に演奏・上演するもの。この種の音楽祭には作曲家の名が冠される場合が多いが、開催地は作曲家ゆかりの土地とは限らない。(3)特定の目標や限定された曲目を演奏・上演するもの。古い音楽、現代音楽、ジャズ・フェスティバルなど。(4)他の催しと結び付いたもの。これは音楽コンクールの審査員、講習会の教授として集まった音楽家たちによる場合が多いが、(1)(3)の一環とされる例も少なくない。
[美山良夫]
クラシック音楽関係以外にも、世界各国でさまざまな分野の音楽祭が行われている。長年にわたって広く注目されているおもな音楽祭をあげておこう。ジャズでは、アメリカのニューポート・ジャズ・フェスティバル(1954年から開催)、モンテレー・ジャズ・フェスティバル(1958~)、コンコード・ジャズ・フェスティバル(1981~)、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル(1967~)、カナダのモントリオール国際ジャズ・フェスティバル(1979~)などがある。日本では、1969年からのサマー・ジャズ・フェスティバル(東京)、82年からのニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾(まだらお)などがあげられる。カンツォーネでは、イタリアで1951年から開催の新曲コンクール形式によるサン・レモ音楽祭が有名。ロックでは、日本で1997年から開催されている、海外スター多数が参加するフジ・ロック・フェスティバルの人気が高い。
[青木 啓]
一定の期間に演奏会やオペラ公演を集中的に行う行事の総称。英語music festivalと同義の名称が他の言語にも見られるが,〈音楽週間〉〈祝祭週間〉〈祝祭公演〉〈音楽の日々〉などの意味をもった名称を冠している催しもある。音楽祭の源流にあたるものは,中世の吟遊詩人たちの歌合戦あたりに求めることができるが,現在一般に行われているような形ができたのは19世紀後半以降である。ことに第2次世界大戦後は,各国でおびただしい数の音楽祭が創設され,観光ブームとあいまって隆盛をきわめている。
クラシック音楽系の催しを傾向別に概観してみると,(1)楽聖とそのゆかりの地にちなんだもの バイロイト音楽祭(ワーグナーの作品のみ,ドイツ),ザルツブルク音楽祭(モーツァルトの作品が主体,オーストリア)など。(2)大都市の名を冠した総花的なもの ウィーン芸術週間,〈プラハの春〉国際音楽祭,大阪国際フェスティバルなど。(3)オペラを中心とするもの ベローナ野外オペラ祭(イタリア),ミュンヘン・オペラ祭など。(4)歴史的建造物を会場とするもの フランドル・フェスティバル(ベルギー)など。(5)優れたオルガンのある教会を会場とするもの ニュルンベルク国際オルガン週間(ドイツ)など。(6)現代音楽祭 ドナウエッシンゲン音楽祭(ドイツ),国際現代音楽協会(ISCM)世界音楽祭(毎年開催国を異にする)など。
ポピュラー音楽の分野で比較的歴史があるものはジャズ祭に多く,ニューポート・ジャズ・フェスティバル(アメリカ),ナショナル・ジャズ・ブルース・フェスティバル(イギリス)などが代表格だが,近年では歌謡祭も盛んで,このジャンルでは音楽祭の名を掲げながら,コンクールの性格をもつものが多い。その他,民族音楽を中心とした催しの増加,また放送を媒体とした音楽祭の出現など,近年の新しい傾向といえる。
執筆者:成沢 玲子
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