ベケット(Thomas à Becket)(読み)べけっと(英語表記)Thomas à Becket

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベケット(Thomas à Becket)
べけっと
Thomas à Becket
(1118ころ―1170)

イギリスのカンタベリー大司教(1162~1170)。ロンドン商人の子。カンタベリー大司教シアボールドTheobald(1090ころ―1161)に仕え、のちヘンリー2世に仕えて、信任厚く、1155年大法官となる。シアボールドの死後、ヘンリー2世の教会裁判権規制政策の実現を期待されて大司教に叙任されたが、王が1164年のクラレンドン法によって教会裁判権を規制しようとしたのに反対し、同年王への上納金を拒否して王と対立、フランスに亡命。1170年に和解して帰国したが、王に協力した聖職者を破門してふたたび王を怒らせた。同年末王側近の4人のナイトによってカンタベリー大聖堂内で殺害された。1173年聖者とされ、彼の墓には巡礼者が絶えなかった。チョーサー作『カンタベリー物語』は、その巡礼を題材にしたものである。

[富沢霊岸 2017年12月12日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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