ヘンリー(2世)(読み)へんりー(英語表記)Henry Ⅱ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリー(2世)」の意味・わかりやすい解説

ヘンリー(2世)
へんりー
Henry Ⅱ
(1133―1189)

イギリス王(在位1154~1189)。プランタジネット朝始祖。フランスのアンジュー伯ジェフリーGeoffrey(ジョフロア。1113―1151)とヘンリー1世の娘マティルダMatilda(マティルド。1102―1167)との子。1150年母からノルマンディー公領を、翌年父の死後アンジュー伯領を継ぎ、1152年フランス王妃エリナー(アリエノール)と結婚してアキテーヌ公領を加え、さらにウィンチェスター条約によってスティーブンStephen王(1097?―1154、在位1135~1154)の死後イギリス王となり、イギリスとフランス西半分をあわせる広大な領土、いわゆる「アンジュー帝国」を支配した。各地の行政裁判制度を整え、イギリスでは1164年にクラレンドン法を出して教会裁判権を規制し、それに反対するカンタベリー大司教トマス・ベケットを殺害させた。また陪審員制を採用して大巡察制を発展させ、裁判行政の統一を図った。1173年イギリスと大陸で呼応する王子、貴族らの反乱に苦しんだが、晩年、アキテーヌをゆだねていた王子リチャード(後のリチャード1世)がフランス王フィリップ2世と連合して反乱を起こし、リチャードの王位後継を認めさせられて死没した。

[富沢霊岸 2022年12月12日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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