ベルトフ

百科事典マイペディア 「ベルトフ」の意味・わかりやすい解説

ベルトフ

ロシアドキュメンタリー映画作家,映画理論家。本名デニス・カウフマンDenis Kauhuman。ベロストク生れ。ロシア未来派の影響を受けた詩を書いていたが,二月革命以降モスクワに移ってニュース映画《キノ・ネジェーリャ(映画週報)》の編集に携わる。《国内戦の歴史》(1921年)などを監督した後〈キノ・キイ(映画眼)〉グループを結成し,1921年―1925年に共産党の正当性を映像によって主張した《キノ・プラウダ(映画真実)》を手がける。1928年にはモンタージュを駆使して現実の再構成を試みた,初の長編で代表作《カメラを持った男》を監督した。その後は形式主義と批判され,晩年は不遇をかこった。1950年代後半にフランスで提唱されたドキュメンタリー映画運動シネマ・ベリテ〉は《キノ・プラウダ》の仏語訳であり,またゴダールが自らの政治映画グループを〈ジガ・ベルトフ集団〉と名付けるなど,後のドキュメンタリー映画,政治映画に与えた影響は大きい。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベルトフ」の意味・わかりやすい解説

ベルトフ
Vertov, Dziga

[生]1896.1.2. ポーランド,ビアリストク
[没]1954.2.12. モスクワ
ソ連の映画監督ドキュメンタリー映画ニュース映画分野で理論と実践両面にわたって活躍,「キノ・グラース」 (映画の眼) の運動を展開した。「キノ・プラウダ」 (映画の真実) シリーズのなかでは『レーニンのキノプラウダ』 Leninskaya kinopravda (1925) が有名。長編記録映画に『レーニンの3つの歌』 Tri pesni o Lenine (34) がある。

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