改訂新版 世界大百科事典 「ベルベル諸語」の意味・わかりやすい解説
ベルベル諸語 (ベルベルしょご)
Berber
アフロ・アジア語族(ほぼ旧来のハム・セム語族に相当。〈アフリカ〉の項の[言語]を参照)の下位グループで,北アフリカからサハラにかけて分布している。東端に分布するのはエジプトのシワ・オアシスのシワ語Siwaで,リビアのソクナ語Sawknah,チュニジアのジェルバ語Jerba,アルジェリアではサハラのムザブ語Mzabi,海岸山地のカビール語Kabyleがある。モロッコでは,リフ山地の多くの方言(Riff),タマジット語Tamazight,シルハ語Shilhaがあり,モーリタニアに入ってゼナガ語Zenagaがある。また,サハラからナイジェリア,マリにかけての広い地域に分布しているトゥアレグ族の言語(タマシェクTamashekと呼ばれる)は,独自のティフィナグ文字という文字体系をもっている。死語となった,カナリア諸島のグアンチェ語Guancheは,口笛を用いて発話することができ,長距離通信に役立たせていたといわれる。
ベルベル語を話す人々(ベルベル)は,現在ではそのほとんどが,アラビア語との二重言語使用者である。
執筆者:松下 周二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報