改訂新版 世界大百科事典 「ホーリネス派」の意味・わかりやすい解説
ホーリネス派 (ホーリネスは)
Holiness Churches
プロテスタントの一教派。アメリカのメソディスト教会内から19世紀におこったホーリネス運動,すなわちメソディスト派の創始者ウェスリーが教えた信仰生活の聖潔と完全を重視し強調する運動に起源を持つ50余の諸教会がある。独立戦争後メソディスト教会は西部開拓地の伝道に力を入れ,教会員数は飛躍的に増加したが,その信仰と道徳生活の質的低下を批判する人々が1825年に《聖潔への手引》という雑誌を刊行し,ホーリネス運動が始まった。キリスト教の世俗化に対抗してファンダメンタリスト的な聖書無謬説を信奉し,禁酒禁煙などの禁欲的生活を厳守した。この運動の中からいくつかの教会が生まれ独立したが,その最初の一つがフリー・メソディスト教会で,1860年に創立された。ホーリネス派中最大のナザレン教会は1895年に成立している。この派の教会は伝道に熱心で,世界各地に多くの宣教師を送っている。
日本のホーリネス派は,宣教師の伝道によるものとアメリカから帰国した日本人の伝道によるものがあり,いくつかの教会に分かれている。日本ホーリネス教会は,もとメソディストの牧師でアメリカから帰国した中田重治によって1917年に創立された。〈新生,聖化,神癒,再臨〉の〈四重福音〉を強調し,内村鑑三と再臨運動を行った。派の中からは第2次世界大戦下,軍部の弾圧と迫害を受け投獄された者が多く出た。
執筆者:古屋 安雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報