マイナンバー制度(読み)まいなんばーせいど

知恵蔵の解説

国民一人ひとりに番号を割り振り、社会保障や納税に関する情報を一元的に管理する共通番号制度。年金や納税などの個人情報を照合できるようにし、行政手続きの効率化や公正な給付と負担の実現などを目的とする。一人ひとりに割り振る12桁の個人番号を「マイナンバー」と呼び、「マイナンバー法」に基づき、2016年1月から番号の利用を開始する。
マイナンバーの通知は、15年10月5日時点の住民票の住所に市区町村が「通知カード」を郵送して行う。16年1月以降、各自の申請により、氏名や顔写真、マイナンバーなどが記載された個人番号カードが交付され、公的な身分証明書として利用できる。個人番号カードには電子証明書も搭載され、電子申請に利用できる。また、住基カードの発行は終了し、住基カードを持っている人は個人番号カードの交付時に返却することになる。
マイナンバーの利用範囲は、法改正により拡大している。マイナンバー法が13年5月に成立した時には、マイナンバーは、税金、社会保険、災害関連の3分野の行政手続きに利用するとされていた。15年9月の改正により、金融機関は18年1月から、預金者の同意があれば、口座番号とマイナンバーをひも付けできるようになり、政府は21年以降にひも付けを義務化することを視野に入れている。また、特定健診や予防接種の履歴にも関連付けるほか、戸籍事務やパスポート、医療・介護など利用範囲の更なる拡大が検討されている。金融資産や健康に関する情報をが把握することで、脱税や年金の不正受給の防止、無駄な医療費の抑制につながると期待される。民間企業も、源泉徴収票に記載するなど税や社会保険の手続きで従業員などのマイナンバーを扱うが、利用範囲が広がってマイナンバーを保有する事業者が増加することで、情報流出の可能性が高まることが懸念されている。

(原田英美 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

住民登録した人に12桁の番号が割り振られ、複数行政機関が必要な情報を互いに照会するに利用される。国は利便性をPRするが、個人情報漏出の懸念も根強くある。

(2017-09-25 朝日新聞 朝刊 2社会)

住民登録した人に12桁の番号を割り振り、複数の行政機関が情報を互いに照会する時に使う。国が利便性をPRするが、個人情報漏出の懸念も根強くある。 マイナンバーカードの交付率は県内で9・03%(4月末現在)。

(2018-05-11 朝日新聞 朝刊 三重全県・1地方)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

百科事典マイペディアの解説

日本における個人番号制度のこと。正式には行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(通称,マイナンバー法)により規定された社会保障・税番号制度。マイナンバーとはこの制度で利用される番号の名称を一般公募により決定したものをいう。国の行政機関や地方公共団体などにおいて,社会保障,税,災害対策の分野で利用することを目的としている。日本に住民票登録している人(中長期在留者や特別永住者などの外国人も含む)全てに対し固有の12桁の個人番号が付与される。この番号は原則として生涯変更されることはない(ただし,漏えい等により不正利用されるおそれがある場合は変更される可能性がある)。本制度導入の背景として社会保障制度と税制の公平・公正な適用がある。これを行うためには社会保障給付と,税制の元となる国民の所得の正確な把握が必要となり,これらを管理できる共通の番号が必要となった。また,この共通の番号を活用することで行政業務の効率化が行われ,国民が受けるサービスの利便性を向上し,国民一人ひとりが自分の情報を正確に把握・コントロールすることで正しい権利を受けることが出来るようになる効果も期待されている。2009年12月,政府の〈平成22年度税制改正大綱〉で,番号制度の導入について言及された。その後議論,検討が行われた結果,2013年5月31日にマイナンバー関連4法案(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号),行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成25年法律第28号),地方公共団体情報システム機構法(平成25年法律第29号),内閣法等の一部を改正する法律(平成25年法律第22号))が公布された。2015年10月から市区町村より各個人にマイナンバーが通知され,2016年1月から番号の利用がスタートする。2018年から金融機関の預金口座にも適用される予定である。マイナンバーは民間企業において従業員の健康保険や厚生年金の加入手続,源泉徴収などに利用されたり,金融機関でも利金・配当金・保険金等の税務処理に利用される。個人を特定出来る番号であるため,番号の取扱にはより厳密な個人情報保護が求められている。マイナンバー法では国の機関・法人・団体にも番号(法人マイナンバー)が付与されることが規定されている。法人マイナンバーは,個人マイナンバーとは違い,国税庁長官から交付される原則公開性の13桁の番号である。また,利用用途にも制限は無いため行政の業務効率化だけでなく,民間企業の業務効率化(例えば企業間の電子商取引で利用する独自の企業コードに法人マイナンバーを利用するなど)も期待されている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本に住む、住民票をもつすべての人に12桁(けた)の個人番号を割り当て、国や地方自治体が社会保障や税などの情報を効率よく管理しようとする制度。2013年(平成25)に成立した社会保障と税の共通番号(マイナンバー)法(正式名称「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」平成25年法律第27号)に基づき、地方自治体が2015年10月から住民へ通知を始め、2016年から運用を開始した。マイナンバー(個人番号)で住民の所得、納税、保険料納付などの情報を一元管理することで、税金・保険料徴収の効率化、年金や医療などの社会保障関係の給付の適正化、各種申請の簡素化などに役だてるねらいがある。現行法では社会保障、税、災害対策の3分野関連に利用が限定されているが、政府は戸籍・パスポート事務、オリンピックやカジノ施設入場時の本人確認証、民間企業での身分証明書などへの利用拡大を検討している。アメリカ、フランス、スウェーデン、ドイツ、韓国など主要国が導入している個人番号制度の一種である。
 マイナンバーは原則、生涯同じ番号を使わねばならない。ただ漏洩(ろうえい)して不正利用のおそれがある場合、本人申請で変更可能である。写真とともに申請すれば、ICチップを内蔵した「個人番号カード」が交付されるが、交付率は2017年8月1日時点で9.4%にとどまっている。民間企業は2016年から、従業員や家族、アルバイトなどの源泉徴収票や社会保障関係書類などにマイナンバーを記載して国や自治体に提出する義務が生じた。2017年11月から国や自治体と医療保険者などの間で税や社会保障の個人情報をやりとりする中核システム(情報提供ネットワークシステム)が本格運用された。住民は申請書にマイナンバーを記載するだけで、住民票などの紙の書類を提出しなくても児童手当、公営住宅、介護保険など1000以上の行政手続が可能となる。ただシステム不備から健康保険や奨学金給付など一部サービスは先送りされた。2017年11月に、住民がパソコンやスマートフォンなどから自分の税や社会保障情報、マイナンバーの使用履歴などを確認できる「マイナポータル」の運用がスタート。2018年には個人の預貯金口座とマイナンバーを結び付けるため、口座開設時に任意でマイナンバーの提示を求められる。政府は税務調査や資産調査を効率的に行うため、口座開設時のマイナンバー提示の義務化を目ざしている。
 マイナンバー制度に対しては、個人情報やプライバシーの漏洩、国の国民監視強化などを懸念する指摘が日本弁護士連合会や野党などから出ている。日本では2015年に日本年金機構がサイバー攻撃を受けて年金情報が流出する事件が起き、アメリカでは他人になりすましてクレジットカードをつくるなどの被害が出ている。政府はマイナンバーを1か所に集中させないようにして、リスクを抑えるよう自治体などに指導している。[矢野 武]

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