マグマオーシャン

デジタル大辞泉 「マグマオーシャン」の意味・読み・例文・類語

マグマ‐オーシャン(magma ocean)

地球・月・地球型惑星形成初期天体表面を覆ったとされる溶融状態のマグマ。天体の成層構造および原始大気の形成に寄与したと考えられる。地球では微惑星衝突エネルギーと温室効果によって表面温度が上がり、マグマオーシャンが形成され、のちに原始大気に含まれた水蒸気から原始海洋が誕生した。マグマの海。

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百科事典マイペディア 「マグマオーシャン」の意味・わかりやすい解説

マグマオーシャン

地球や月の形成時期に月の表面をおおっていたとされる数百kmのマグマの海。はじめは月表面の岩石の分析値より推定された。地球のマグマオーシャンは地球形成初期に大気の保温効果などにより地球表面が溶けだしたものと考えられており,地球のマントル地殻などの層状構造や,地球の原始大気や海の形成に重要な役割を果たしたと考えられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マグマオーシャン」の意味・わかりやすい解説

マグマ・オーシャン
magma ocean

地球形成の初期の原始地球の時代に,地表を覆っていたとされるマグマの海をいう。原始地球は微惑星が衝突して成長してきたと考えられているが,この衝突によって濃密な大気が形成され,地表温度は上昇し,岩石の融点を超して,地表はどろどろに溶けたマグマの海,いわゆるマグマ・オーシャンで覆われたと考えられている。マグマ・オーシャンの面積が増えると,マグマに溶け込む水蒸気量が増え,その結果,水蒸気大気量が減って,地表温度が下がり,マグマ・オーシャンの面積が減る。すると衝突ガスによって水蒸気大気が増加して,地表温度が上昇し,マグマ・オーシャンの面積が増加する。これを水蒸気大気とマグマ・オーシャンの溶解平衡といい,このようなことを繰り返すうちに原始地球は安定化していったと考えられている。

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知恵蔵 「マグマオーシャン」の解説

マグマオーシャン

原始惑星物質が集積して惑星が形成された時に、惑星表面のほとんどが溶けた状態になって、マグマの海ができた様子。内部では、原始惑星物質からケイ酸塩や金属鉄が分離、核とマントルの成層構造ができたと考えられ、内惑星進化にとって重要な事件。マグマオーシャンからの脱ガスによって原始大気ができ、その水蒸気から原始海洋が誕生した。オーストラリアでの43億〜44億年前の年代をもつ鉱物粒子ジルコンの発見は、当時すでに花崗岩大陸地殻があったことを示唆し、その鉱物の酸素同位体比から、低温で水と相互作用した可能性も指摘されている。このことは、地球誕生後数億年続いたマグマオーシャンの時代に、一部大陸地殻があったことを示すのかもしれない。

(斎藤靖二 神奈川県立生命の星・地球博物館館長 / 2007年)

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