コンピューター制御による複合切削工作機械。自動工具交換装置automatic tool changer(略称ATC)のツールマガジンの中に,加工に必要な多数の工具(正面フライス,中ぐり工具,エンドミル,ドリルなど)をあらかじめ用意しておき,加工手順に応じて主軸の工具を数値制御の指令で自動的に交換して加工を行うことが特徴である。
数値制御工作機械がアメリカのマサチューセッツ工科大学で初めて開発されたのが1952年であり,その後工作機械の数値制御(NC)化が進む中で,アメリカで自動工具交換装置付きの工作機械が開発され,これに対してマシニングセンターの名称が与えられた。ただし,マシニングセンターではいわゆる軸物の旋削加工が行えないため,数値制御旋盤にフライス盤の機能の一部を組み入れたターニングセンターと呼ばれる工作機械がその後開発されてきた。80年代に入るとロボットの急速な発達により,ロボット搬送車や,ロボットとマシニングセンターやターニングセンターなどを組み合わせたフレキシブル生産システムが作られ,ますます多種中量から小量生産の省力化に役だってきている。
マシニングセンターの構造としては,主軸が垂直に取り付けられている立形と,主軸が水平に取り付けられている横形があり,機種としては横中ぐり盤と類似の構造をした後者のほうが多い。主軸は垂直方向に送りや位置決めをすることができ,テーブルは水平面内の直角2方向に送りや位置決めをすることができる。工作物を取り付けるためのパレットはテーブルの上にあって,水平面内をある角度ずつ旋回して角度を割り出す機能を有しており,いわゆる箱物の工作物を取り付け直さずに,その水平面内にある4面のうちの何面かを加工することができる。主軸およびテーブルの位置決めがμmのオーダーででき,かつ同時に何軸かを送ることができるため,非常に複雑な形状をした加工を精度よく行うことができる。また使用する工具の種類が多いため,主軸回転数の範囲は非常に広く取られている。
マシニングセンターには,より精度よくかつ能率よく自動加工できるように種々の付属機能を付けることがある。その代表的な例としては,パレット上の工作物の取付け,取外しに要する時間を少なくし,かつ夜間の無人運転が可能になるように,何台かのパレットをあらかじめ備えておき,その上にあらかじめ取り付けられた工作物を順次加工していく自動パレット交換の機能,工具摩耗や熱変形などにより生ずる加工誤差を防ぐため,加工寸法測定用のセンサー(ATCのツールホールダーの中に工具の代りに入れてある)を用いて測定する機能,ツールホールダーに入れられている工具の累積使用時間から工具寿命を監視する機能,工具にかかる切削負荷が一定になるように送り速度を変化させる適応制御機能,工具破損や工具損傷を検出する機能,ツールマガジン全体を交換する機能などがある。
旋盤形マシニングセンターのことを一般にターニングセンターと呼んでいる。そのおもな特徴は,主軸をある角度ごとに止めることができる割出し機能があり,何本かの工具を取り付けるタレットにはエンドミルやドリルなどを付けて回転させることができる点である。したがって,旋削加工のほかに,キー溝加工,スパイラル溝加工,角柱の加工,側面や端面の穴加工などを1回のチャッキングで行うことができる。またパワーチャックとロボットを組み合わせて自動的に工作物の取付け,取外しを行うこともできる。そのほかに加工寸法自動計測装置や工具欠損検出機能などが付けられることがある。
→工作機械
執筆者:西脇 信彦+伊東 誼
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