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マフィア Mafia

翻訳|Mafia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マフィア
Mafia

シチリア島における社会支配の一形式。マフィアという語はアラビア語に由来するとみられるが,語義についてはまだ解明されてない。 19世紀中頃シチリア農村の支配権が大土地所有貴族から農村ブルジョアジーに移行する過程で,農村ブルジョアジーが農民に対する支配を確実なものとするため私兵を雇って,公権力よりも「沈黙の掟」という私的強制力を通じて支配秩序を形成した。このような支配の方式と社会慣行,さらにはそれを行使する人間がマフィアの名で呼ばれることになった。外国の圧政に反抗するため 13世紀に生れた秘密結社という説もあるが正しくない。マフィアは法を犯すというよりも,法に依存しないで私闘権によって物事を処理することを選ぶわけで,通常の犯罪集団とも区別される。 20世紀になってファシズム政府は中央権力をすみずみまで貫徹するためにマフィアに弾圧を加えたが,第2次世界大戦中アメリカ軍がシチリア上陸に際してマフィアを利用したことから復活した。現在では農村よりも都市の諸利権確保がマフィアの主要舞台となっている。なお 19世紀末から 20世紀初めにかけてシチリアから大量の移民がアメリカ合衆国,南アメリカへ渡ったときマフィアの名もアメリカに持込まれたが,シチリアのマフィアとは違った性格を有するようになり,アメリカに根づいたマフィアは都市犯罪組織としての性格を特徴とするにいたった。 1930年後半にはアメリカ犯罪組織のなかで最大,最強のものとなり,60年代のアメリカには犯罪組織としてのマフィアが 24も数えられた。組織のうえではシチリアのそれを踏襲し,それらマフィア・グループの統領たちは評議会を構成して組織の掟を決定し,中間ボスの組織を通じて末端の兵士に,レストラン業,機械販売業,理髪業などの経営のほか,非合法の売春,賭博,麻薬売買などに従事させた。また組織の不法行為 (殺人,暴行,買収など) は上部に類を及ぼさないよう監視した。しかし 70年代に入るとシチリアの伝統をもつボスも少くなり,シチリア移民もアメリカの風土に溶け込んできたため,マフィアの力は衰退の兆しを見せはじめた。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

マフィア

イタリアが国家統一される前後の19世紀半ばから活動が表面化したシチリア島の犯罪組織。米国でもイタリア移民の犯罪組織が「マフィア」と呼ばれ、犯罪組織の代名詞ともなった。実態はベールに包まれていたが、80年代半ばに元幹部が法廷で証言し、「ファミリー」と呼ばれる多数の結社からなることなど組織の一端が明かされた。議会の反マフィア委員会は構成員を約5千人とみている。90年代初頭、摘発にあたった検事2人を家族らとともに爆殺するなど捜査当局に激しく抵抗。93年、当時の最高幹部サルバトーレ・リーナ受刑者の逮捕後は、非合法経済活動に重点を移したとされる。

(2008-02-08 朝日新聞 朝刊 2外報)

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デジタル大辞泉の解説

マフィア(Mafia)

米国その他の国の大都市に暗躍する犯罪組織。イタリアのシチリア島で大地主層の圧政に反抗した農民集団を起源とし、密輸・賭博(とばく)などの犯罪から政治や産業にまでも介入している。

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百科事典マイペディアの解説

マフィア

イタリアのシチリア島に生まれた秘密結社。長期にわたる外国支配に対する自衛組織に起源するといわれる。19世紀には独自の法を殺人,脅迫等によって強制し,犯罪組織の色彩を濃くした。
→関連項目ギャングシチリア[島]組織犯罪パレルモ

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世界大百科事典 第2版の解説

マフィア【Mafia】


[シチリア]
 シチリアに特有の組織犯罪を指す。〈マフィア〉の語はアラビア語に由来すると考えられるが,語源や語意は不明である。シチリアにマフィア的現象が現れるのはイタリアの統一国家成立前後の19世紀半ばからで長い歴史となるが,その実態については必ずしも明らかでなく,一般にはアメリカ・マフィアを題材とした映画や小説によるイメージが流布している。従来の見解では,マフィアは農村的起源で,大土地所有地帯の遅れた社会関係の中で生まれ,第2次大戦後,都市に進出したとされていたが,近年の研究は,都市であれ農村であれ〈富〉の発生する場所に最初から存在していたことを確認している。

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大辞林 第三版の解説

マフィア【Mafia】

イタリアで強い勢力をもつとされる大規模な犯罪組織。シチリア島で結成された秘密結社が起源といわれる。
イタリア系移民を中心とするアメリカの犯罪組織。コーザ-ノストラ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マフィア
まふぃあ
Mafia

アメリカ、イタリアに存する暴力的な秘密組織。マフィアということばは、虚栄、自慢を意味するアラビア語のmahyahからイタリア方言化したとされる。もともとイタリアのシチリア島に発生の根源をもっているが、その組織化にはいくつかの起源説がある。その第一は9世紀、アラブの侵入に対して結成されたという説、第二は1282年にフランスの抑圧への抵抗に始まるという説、第三は18世紀後期のブルボンとの闘いのための団結説、第四にもっとも一般的なのは、19世紀初め、ナポレオン軍に追われたナポリ王室がこの島に逃げ込んだのが契機という説である。
 マフィアが初めてアメリカの歴史に現れたのは1870年ころだが、その後、中西部のイタリア移民によってシカゴ、セントルイス、クリーブランドなどを拠点に、やがて全米の暗黒街に根を張るようになった。1929年、カポネによるシカゴのバレンタインデーの虐殺は有名であるが、禁酒法時代の事件である。マフィアはアメリカの土壌で新しくギャングとして発達し、コーザ・ノストラCosa Nostra(「われわれのもの・仕事」の意)ともよばれる。1930年当時には、ニューヨークをはじめ全米に24のファミリーがあった。ファミリーはその活動単位で、ボスの下にアンダー・ボス、そして平のソルジャーに至るまでの組織をもつ。また、ファミリー間を調整するコミッションやカウンシルがあったこともある。彼らは、不文の掟(おきて)のオメルタomerta(仲間意識)で結ばれ、また、日本のやくざなどに比べると、世間からの秘匿性がはるかに強い。[岩井弘融]
『F・J・クック著、小菅正夫訳『マフィア犯罪白書』(1972・早川書房) ▽N・ゲージ著、常盤新平訳『マフィアは冷酷な企業である』(1973・角川書店) ▽O・デマリス著、宮本晃太郎訳『マフィア 裏切りの報酬』上下(1981・サンケイ出版)』

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世界大百科事典内のマフィアの言及

【家】より

…日本の家も西欧のファミリーも,その基本的機能は成員の生活保障にある。だからこそ血縁者のみでなく,他人もいれる必要がでてくる。英語のファミリーfamilyの原義は家の使用人たちであった。歴史とともに社会が安定し,生活が容易になれば,他人を必要とせず,血縁につながる近親者の小集団に縮小してくる。しかし,家の血縁に対する考え方は国によって違う。家族
【日本】

[結合原理としての家――伝統と変容]
 日本の場合,血縁尊重ということがよくいわれる。…

【イタリア】より

…しかし,ナポリの支配を嫌って半島部からの分離を求める自治主義の動きが根強く存在し,新国家に組みこまれたのちにも,この自治主義の要求は機会あるごとに表明された。だが,統一以後のシチリア社会で特に重要なのは,マフィアとよばれる現象が出現したことである。マフィア的現象は,農村ブルジョアジーが国家の諸制度に依拠しないで,みずからの実力の行使によって地域的な支配権を確立しようとする試みとみることができる。…

【シチリア[島]】より

…このような環境のもとでの社会生活には血縁関係が重要な役割を果たし,また名誉や復讐の観念が重んじられた。イタリア統一の前後からシチリアにマフィアとよばれる現象が出現するが,それはこうした社会環境と密接なつながりをもつものであった。 一方,沿岸部は中小農による集約農業が特徴で,内陸部に比べて生産性が高く,ブドウ,かんきつ類,オリーブ,アーモンドなどの樹木栽培が行われた。…

【秘密結社】より

…古い生活形態に固着するか,まだ姿を現さない新しい生活形態を期待するか,である。この点で秘密結社を二分するなら,前者がマウマウ団(マウマウの反乱)やマフィアのように古い因習に固執する楽園回帰グループ,後者が多少とも革命的な世界改革を唱える啓明結社カルボナリ党,アイルランド独立を目ざしたクラン・ナ・ゲールClan‐na‐gaël,革命前夜のボリシェビキ(ロシア社会民主労働党)のようなユートピア志向グループ,となろう。むろんこの分類はとりあえずのものにすぎず,両者の間に一線を画するのは容易ではない。…

※「マフィア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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