日本大百科全書(ニッポニカ) 「カポネ」の意味・わかりやすい解説
カポネ
かぽね
Al Capone
(1899―1947)
アメリカのギャング。ニューヨークで貧しいイタリア系移民の家に生まれ、少年時代から犯罪組織に関係。21歳のときシカゴに移る。この年(1920)アメリカは憲法修正第18条(いわゆる禁酒法)によって禁酒の国になり、その結果、密造酒と密輸の酒は暗黒街の巨大な財源になった。とくにイタリア系のギャング(マフィア)が闇(やみ)酒でもうけて、勢力を拡大した。カポネはその代表的なボスの座を獲得、「暗黒街の帝王」とよばれた。政界・警察を買収し、1927年には一億数千万ドルの所得があったといわれる。29年2月の「聖バレンタインデーの虐殺」など数多くの殺人・暴力事件の影の主役であった。31年、脱税によって懲役11年の判決を受け、サンフランシスコ湾のアルカトラズ刑務所などに服役、39年に出所したが、すでに梅毒に冒されていて、暗黒街に復帰することはなかった。
[常盤新平]
『猿谷要・城山三郎・常盤新平編『人物アメリカ史5 カポネの時代』(1984・集英社)』