マメタニシ(英語表記)Parafossarulus manchouricus

改訂新版 世界大百科事典 「マメタニシ」の意味・わかりやすい解説

マメタニシ (豆田螺)
Parafossarulus manchuricus

タニシを小型にしたような形をした淡水産のマメタニシ科の巻貝。殻は長卵形で,高さ1cm,幅0.6cm。やや薄いが堅固で,淡黄色~黄褐色をしている。巻きは5層で,各層には3本の螺肋(らろく)があり,体層では5本ある。殻口は卵形で,成貝ではその縁が厚くなっている。ふたは卵形で平たく石灰質本州九州朝鮮半島,中国に分布し,水底れき藻類の上にすむ。春から夏に紐状の卵塊を産むが,その中に30~60個の卵が2列に並んでいる。孵化(ふか)後約3ヵ月で成貝になる。本州から九州に分布する日本産の種は殻表の螺肋が著しいので,中国や朝鮮半島に分布するのと区別して別亜種P.m.japonicusとすることがある。ヒトイヌ,ネコなどに寄生するカンキュウチュウ肝吸虫)の第1中間宿主である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マメタニシ」の意味・わかりやすい解説

マメタニシ
Parafossarulus manchouricus

軟体動物門腹足綱マメタニシ科。淡水産。殻高 1.3cm,殻径 0.7cm。殻は淡黄色,卵形で,比較的薄い。螺層は5階。殻表には螺肋をめぐらす。殻口は卵形で,成貝では厚くなる。ふたは石灰質で,外側は同心円状に筋があるが,中央部は多少巻いている。本州から九州,朝鮮半島,中国に広く分布し,湖沼沿岸やゆるやかな流れの川や溝にすむ。春から夏にかけて寒天質の細長い卵塊 (30~60個の卵が2列に入っている) を産む。孵化後3ヵ月で成貝になるが,成貝は肝吸虫の第1中間宿主となる。なお,第2中間宿主はモロコ類やタナゴ類などの魚類である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マメタニシ」の意味・わかりやすい解説

マメタニシ
まめたにし / 豆田螺
[学] Parafossarulus manchuricus

軟体動物門腹足綱マメタニシ科の巻き貝。淡水産種で、本州、九州、および朝鮮半島、中国北部に広く分布し、湖沼の沿岸や流れの緩やかな河川にすむ。殻高13ミリメートル、殻径7ミリメートルに達し、殻は比較的薄くて卵形。殻表は淡黄色から黄褐色で太い螺肋(らろく)を巡らす。螺層は5階。殻口は卵形で、蓋(ふた)は石灰質。産卵期は春から夏で、透明な寒天質の膜で覆われた細長くて扁平(へんぺい)な卵塊を他物に付着させる。中に30~60個の卵が2列に並んでおり、孵化(ふか)後数か月で成貝となる。成貝は肝吸虫の第一中間宿主となる。

[奥谷喬司]

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百科事典マイペディア 「マメタニシ」の意味・わかりやすい解説

マメタニシ

マメタニシ科の淡水産巻貝。タニシを小型にしたような形だが,タニシの仲間ではない。高さ1.3cm,幅7mm,卵形で,淡黄〜黄褐色。殻表の螺肋(らろく)の強さはさまざま。蓋は卵形で平たく石灰質。本州〜九州およびアジア大陸に広く分布し,水底の礫(れき)や藻類の上にすむ。ヒトやイヌなどに寄生する肝吸虫の第1中間宿主として知られる。

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