肝吸虫(読み)かんきゅうちゅう(英語表記)Clonorchis sinensis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肝吸虫
かんきゅうちゅう
Clonorchis sinensis

扁形動物門吸虫綱二生目後睾吸虫科の寄生虫肝臓ジストマともいう。成虫は体長 10~25mm,体幅3~4mmの薄いへら形で,ヒト,イヌ,ネコ,ブタなどの胆管に寄生して肝肥大,腹水,黄疸などを引起す。第1中間宿主マメタニシ,第2中間宿主はおもにコイ科の淡水魚で,特にモツゴ,ヤナギモロコ,ヒガイゼニタナゴなどへの寄生率が高い。幼虫はこれらの魚の皮下組織や筋肉内にすみ,これが魚とともに人体に入ると約4週間で成虫になる。韓国,中国,台湾などに分布し,日本では八郎潟北部,霞ヶ浦,琵琶湖などをはじめとして各地にみられる。

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デジタル大辞泉の解説

かん‐きゅうちゅう〔‐キフチユウ〕【肝吸虫】

吸虫の一種。体長1センチほどのへら形をした寄生虫。虫卵が第1中間宿主マメタニシに食べられ、発育した第2中間宿主のコイなどの淡水魚の皮膚から侵入し、この魚の生食によって終結宿主の人間・犬・猫などの胆管に入り成虫となる。胆管炎・肝腫大(しゅだい)・黄疽などの症状が現れる。日本から中国・東南アジアにかけて分布。肝臓ジストマ。

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大辞林 第三版の解説

かんきゅうちゅう【肝吸虫】

吸虫綱の扁形動物。成虫は体長約2センチメートル、幅約3ミリメートルの細長い葉形で、哺乳類の肝臓に寄生する。卵は第一中間宿主マメタニシに食べられてその体内で幼虫になって水中に泳ぎ出し、第二中間宿主のコイ科の魚の皮膚から侵入して成長し、この魚肉とともに食べられて終宿主のヒト・イヌ・ネコなどの胆管に入って成虫となる。胆管炎・黄疸などの症状を起こす。肝臓ジストマ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肝吸虫
かんきゅうちゅう
oriental liver fluke
[学]Clonorchis sinensis

扁形(へんけい)動物門吸虫綱二生(にせい)亜綱後睾(こうこう)吸虫科に属する寄生虫。肝臓ジストマともいう。東南アジア、中国、台湾、朝鮮半島、日本に分布する。日本では八郎潟(はちろうがた)、利根(とね)川流域、琵琶(びわ)湖、吉野(よしの)川流域、岡山県南部などが流行地として知られていた。成虫は長さ1~2.5センチメートル、幅2~4ミリメートルの薄いヤナギの葉形で、ヒト、イヌ、ネコ、ネズミなどの胆管に寄生する。
 宿主の糞便(ふんべん)とともに排出された卵は、第一中間宿主のマメタニシに食べられ、その体内で孵化(ふか)した幼虫のミラシジウムはスポロシスト、レジア、セルカリアと発育したのち貝から水中に遊出する。セルカリアは、第二中間宿主のモツゴなど主としてコイ科の魚の皮膚から侵入し、皮下組織や筋肉内で袋に包まれメタセルカリアとなる。このメタセルカリアが魚肉とともに固有宿主のヒトなどに食べられると、小腸内で袋から脱出した幼虫は胆管に入って約4週間で成虫になる。少数寄生では症状を示さないが、多数寄生すると胆管の栓塞(せんそく)をおこし、胆管炎、肝腫大(かんしゅだい)、腹水、黄疸(おうだん)などの症状が現れる。流行地で淡水魚の生食を避けることが予防の第一である。[町田昌昭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かん‐きゅうちゅう ‥キフチュウ【肝吸虫】

〘名〙 扁形動物吸虫類に属する寄生虫。体はヤナギの葉形で、体長六~二〇ミリメートル、幅三~四ミリメートル。ヒト、イヌ、ネコ、ブタ等の人畜の肝臓の胆管に寄生し、胆管炎、腹水などを起こさせる。日本の他、中国、東南アジアなどに多い。雌雄同体で、口吸盤と腹吸盤をもつ。マメタニシを第一中間宿主、コイ科の淡水魚を第二中間宿主とする。この間に、卵から始まり、ミラキデューム、スポロキスト、レディアケルカリア、メタケルカリアの各幼期を経て、寄生した哺乳類の体内で成虫となる。肝臓ジストマ。

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