フランスの哲学者。パリに生まれる。1913年よりパリ・カトリック学院の教壇に立つ。第二次世界大戦中はカナダに亡命。1945~1948年駐バチカン市国大使。1948年よりアメリカのプリンストンその他の大学に籍を置いて活躍、1961年帰国した。彼は初めソルボンヌ大学(パリ大学)で哲学と自然科学を学んだが、やがてベルクソンの「生の哲学」に傾倒した。だがカトリックに入信し、聖トマスの教説に接して開眼するとともにベルクソン哲学とも決別した。彼は一般に新トマス主義者とよばれている。著書も多く、また論じたテーマも各方面にわたり、日本でも戦前岩下壮一(いわしたそういち)、吉満義彦(よしみつよしひこ)などのカトリック系哲学者たちに大きな感化を与えた。
[西村嘉彦 2015年6月17日]
『三嶋唯義著『ジャック・エメ・アンリ・マリタン』(澤瀉久敬編『現代フランス哲学』所収・1968・雄渾社)』▽『Jean DaujatMaritain un maître pour notre temps (1978, Téqui, Paris)』
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フランスのカトリック思想家,現代トミズムの代表的哲学者。トミズムが神学校の枠を超えて広く学界や論壇で影響力を及ぼすようになったのはマリタンの力によるところが大きい。トロント,シカゴ,プリンストン,ノートル・ダムなどの大学で教えたが,思想家としてのマリタンの本領は,知識人としてフランスおよび世界の社会的・政治的情勢に深くかかわりつつ,カトリック信仰とトマス哲学の原理にもとづいて,預言者的発言を行ったところにある。1961年以後はフランスのトゥールーズの修道院に隠遁して,そこで没した。主著として《認識の諸段階》(1932),《全きヒューマニズム》(1936),《人間と国家》(1951)などがある。
執筆者:稲垣 良典
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1882~1973
フランスの哲学者。カトリック神学の立場に立つ。近世哲学が思惟と存在を一次元に統一したのに反対し,天使ではない人間はその所属すべき存在の階層を見出すべきだとする。
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