改訂新版 世界大百科事典 「マンガン乾電池」の意味・わかりやすい解説
マンガン乾電池 (マンガンかんでんち)
carbon-zinc cell(battery)
現在最も広く利用されている一次電池。陽極活物質は二酸化マンガンMnO2,陰極活物質は亜鉛Zn,電解液は塩化亜鉛ZnCl2,塩化アンモニウムNH4Clの水溶液である。液にはデンプンなどを加えて糊状とし漏液しないようにしてあることから乾電池の名がある。起電反応は,
陰極 Zn+2NH4Cl─→[Zn(NH3)2]2⁺+2H⁺
+2Cl⁻+2e⁻
陽極 MnO2+H⁺+e⁻─→MnO(OH)
である。陽極合剤はMnO2にグラファイトの粉を混ぜ,電導性をよくしている。起電力は1.5V。放電特性は図に示したとおりで,放電量の増加とともに電位も徐々に低下し,電圧の平坦性はあまりよくない。エネルギー密度は20~50Wh/kg,40~100W/l程度。
→乾電池
執筆者:笛木 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報