改訂新版 世界大百科事典 「ムーズ川」の意味・わかりやすい解説
ムーズ[川]
Meuse
フランス北東部から北に流れ,ベルギー,オランダを経て北海に注ぐ川。全長約950km,流域面積3万6000km2。オランダではマースMaas川と呼ばれる。パリ盆地東縁,ラングル台地の標高約400mの地点に発し,ロレーヌ地方西部のムーズ県を南から北に貫く。ムーズ県はロレーヌ地方の中で最も人口密度が少なく,最も農村的で発展が遅れている。蛇行するムーズ河谷中のベルダンは第1次大戦の激戦地である。ベルギーとの国境付近ではアルデンヌ高原を横切り,高原の北麓に出ると向きを東北東に変えてナミュールからリエージュまで,炭田と工業地帯の中を流れる。リエージュからは流路を北に転じ,オランダに入ると広い沖積平野をつくりながらしだいに向きを西に変えて酪農地帯を流下する。最下流部では,ライン川の支流ワール川と合流したり,多くの分流を派生しながらロッテルダム付近で北海に注ぐ。運河によって多くの河川と結ばれ,内陸水路として重要である。
執筆者:小野 有五
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報