独立した言語ではなく、オランダ語の方言群の名称である。ベルギー北部(フランドル地方)で使用されているオランダ語の諸方言の独自性を強調するため、とくにこうよぶ。言語学的に意義のある分類だが、一般にはオランダのオランダ語およびベルギー南部のフランス語(ワロン語Walloon)に対比させた民族的、社会的概念として使われることが多い。話者(フラマン人とよばれる)は約600万人いるが、その方言群の存在が公認されているわけではなく、ベルギーの公用語となっているのは標準オランダ語である。フラマン語に属する方言で書かれた刊行物もあるが、それは一部地域住民の郷土愛の産物であって部数は少ない。
[桜井 隆]
ベルギー王国の北半分で話されるオランダ語の通称。ベルギーにおけるフランス語と並ぶ公用語であり,約550万人(1977)により使用される。このようにベルギーにおいては,二つの公用語が存在するが,フラマン語を用いる北部のゲルマン系のフラマン人と,南部のフランス語を用いるラテン系のワロン人の間には言語的対立が続いている。
フラマン語は,1581年の独立戦争の結果南北に分離したネーデルラントの南部のオランダ語にその源をもち,19世紀前半からのフラマン語擁護運動を経て,19世紀後半にベルギーの公用語として認められた。フラマン語は,構文面におけるフランス語の影響があり,また発音・語彙の点で,オランダ王国のオランダ語とは若干相違するが,オランダ語と別個に存在する言語ではなく,規範となる標準語は両者同一である。
執筆者:斎藤 治之
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…ここで,ネーデルラントの北部と南部は分離し,政治・文化の中心は北部に移り,南部のオランダ語は北部とは別の道を歩むことになった。今日のベルギー北部を中心に行われるこの南部のオランダ語はフラマン語とも呼ばれる。 独立後の北部は,政治・経済の隆盛と並んで文化的にも黄金時代を迎え,言語の面では劇作家J.フォンデルなどの用いたアムステルダムを中心とするホラント方言が優位を占めたが,北部の文語は,自由を求めて南部から北部に移住した多くの詩人や作家により,南部方言の影響を強く受けたものであった。…
… スイスのようにドイツ語,フランス語,イタリア語それにレト・ロマン語が公用語として比較的うまく共存している例もあるが,ベルギーではラテン系のワロン人とゲルマン系のフラマン人の間ですさまじい言語戦争が展開されている。ワロン人は人口の44%を占めフランス語を常用しているのに対し,フラマン人は55%の多数でオランダ語から派生したフラマン語を使っている。1831年の独立当初はフランス語を公用語に決めたが,フラマン人の猛烈な抵抗運動の末,フラマン語も公認されるにいたった。…
…正式名称=ベルギー王国Koninkrijk België∥Royaume de Belgique∥Kingdom of Belgium面積=3万0528km2人口(1996)=1018万人首都=ブリュッセルBruxelles(日本との時差=-8時間)主要言語=フラマン語(オランダ語),ワロン語(フランス語)通貨=ベルギー・フランBelgian francヨーロッパ北西部にある立憲君主国。北はオランダ,東はドイツ,南東はルクセンブルク,南はフランスと境を接し,西は北海に面して65.5kmの海岸線を形づくりイギリスに対する。…
※「フラマン語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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