リュウキュウアイ
Assam indigo
Strobilanthes cusia (Nees) O.Kuntze
熱帯アジアを中心に分布し,多数の種を有するキツネノマゴ科イセハナビ属Strobilanthesの多年草の1種。高さ30~70cmで茎はやや方形。葉は倒卵形から楕円形で,長さ5~13cm,幅2.5~5cm。花は枝先の短い穂状花序につく。花冠は漏斗状で淡紫色,先端は等しく5裂し,花冠内側背面に2列の毛があり,花柱を支持する。おしべは4本で2本は短い。果実は長楕円形の蒴果(さくか)で,4個の種子をいれる。全草乾くと黒くなる。
インド,中国南部,インドシナ,台湾から沖縄および九州南部に分布する。かつて藍色の染料(room)を作るためにインドから日本にかけて広く栽培された。日本のものが本来の自生かどうかは問題である。イセハナビS.japonica (Thunb.) Miq.は中国原産で,日本では栽培しており,また暖地に帰化している。リュウキュウアイに比し全体に小型で,花も小さい。
執筆者:寺尾 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
リュウキュウアイ
りゅうきゅうあい / 琉球藍
[学] Strobilanthes cusia O.Kuntze
キツネノマゴ科(APG分類:キツネノマゴ科)の低木。高さ約1メートル、葉は卵形で先がとがり、やや多肉質。夏に穂状花序をつけ、長さ2~3センチメートル、淡紫色の唇形花を開く。半陰地でよく育つ。九州南部、沖縄、台湾、インドシナからインドにかけて分布する。夏に枝葉を刈り取り、40℃ほどの湯に浸(つ)けて色素を抽出し、さらに酸化させ、沈殿した糊(のり)状の青藍(あおあい)を圧搾乾燥させて染料の藍靛(あいてん)をとる。染料成分はインジゴindigoで、沖縄ではこの染料で芭蕉布(ばしょうふ)などを染めたが、最近はあまり利用されない。
なお、本種のほかに木本性の藍色染料植物であるマメ科のコマツナギ属Indigoferaの数種を総称し、キアイ(木藍)の名でよぶこともある。
[星川清親 2021年10月20日]
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世界大百科事典(旧版)内のリュウキュウアイの言及
【アイ(藍)】より
…濃青色,いわゆる藍色の染料を採るために栽培されるタデ科の一年草(イラスト)。インジゴと呼ばれる藍色の染料を採る植物には,アイのほかにリュウキュウアイStrobilanthes cusia O.Kuntze(キツネノマゴ科)やインドキアイ(コマツナギ属の数種,マメ科)(イラスト,イラスト)などいくつかあるところから,とくにアイを区別してタデアイとも呼ぶ。東南アジア原産で,中国では古くから栽培された。…
【アイ(藍)】より
…濃青色,いわゆる藍色の染料を採るために栽培されるタデ科の一年草(イラスト)。インジゴと呼ばれる藍色の染料を採る植物には,アイのほかにリュウキュウアイStrobilanthes cusia O.Kuntze(キツネノマゴ科)やインドキアイ(コマツナギ属の数種,マメ科)(イラスト,イラスト)などいくつかあるところから,とくにアイを区別してタデアイとも呼ぶ。東南アジア原産で,中国では古くから栽培された。…
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