リュージュ(その他表記)luge

翻訳|luge

デジタル大辞泉 「リュージュ」の意味・読み・例文・類語

リュージュ(〈フランス〉luge)

小形の木製そり滑走面にスチールが取り付けてあり、ハンドル・ブレーキがなく、手綱で操作する。トボガン
氷上スポーツの一。1仰向けの姿勢で乗り、氷で固められたコースを滑り降りて所要時間を競う。冬季オリンピックの正式競技で、一人乗り・二人乗り・チームリレーなどの種目がある。現在は、主に強化プラスチック製のそりが用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「リュージュ」の意味・読み・例文・類語

リュージュ

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] luge ) 小型木製のそり。また、それによる冬季競技の一種。一人乗りと二人乗りがある。オリンピック種目ヨーロッパの積雪地方で、荷物の運搬という実用的なものから、戸外の遊びに用いられ、さらに発展して競技化された。トボガン。

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改訂新版 世界大百科事典 「リュージュ」の意味・わかりやすい解説

リュージュ
luge

人工氷で固めた走路を手綱と足首でそりを操作して滑走する競技。本来はフランス語で木ぞりの意味で,英語ではトボガンtobogganという。ボブスレーと並ぶ冬季オリンピックの競技種目だが,プラスチック製あるいは木製でブレーキやハンドルがない点でボブスレーと区別される。

木ぞりはヨーロッパの降雪地帯で古くから交通機関や荷物の運搬用として使われていたが,17世紀半ばから戸外の遊びにも使われ始めた。最初にスポーツとして現れたのはスイスで,1881年にはダボスで初のスイス国内競技会が開かれた。しかし,90年代に入ると木製のそりにあきたらない人たちが鋼鉄製のそりを作り大型化が進んだ。そして競技的には木製のそりがリュージュ,鋼鉄製がボブスレーへと分化していった。1923年に国際ボブスレー・トボガニング連盟(FIBT)が創設されたが,57年に国際リュージュ連盟Fédération Internationale de Luge de Course(FIL)として独立している。加盟国49ヵ国(2007現在)。64年の第9回インスブルック大会からオリンピックの正式種目として認められた。ドイツ,オーストリア,イタリアなどで盛んな競技である。日本には第2次世界大戦後アメリカ軍の進駐によって移入された。1963年日本リュージュ連盟が設立されたが,国内的には〈そり競技〉として組織を一つにすることになり85年日本ボブスレー・リュージュ連盟に統一された。

山腹の北側斜面に作られた全長1000~1500m,標高差110~130m,平均斜度10%程度の氷で固めたコースを滑り降りる。コースには直走路のほかに左右へのカーブS字カーブヘアピンカーブラビリンス(迷路)が配置され変化に富んでいる。最高時速は120km前後。一般には時速80~90kmのスピードで滑走するため,選手がコースから飛び出さないようカーブの外壁は2~7mの高さに作られている。種目は男女各1人乗り,男子2人乗りの3種目があり,1人乗りは4回(2日),2人乗りは2回(1日)の滑走タイムの合計で順位を決める。

 そりはプラスチック製あるいは木製で,重量は手綱,シートのクッションなど付属物を加え,1人乗りが23kg,2人乗りが27kg以内となっている。そりの滑走部(ランナー)だけにスチールが取り付けられ,2本のランナーの間隔は45cm以内と決められている。そりには空気抵抗を少なくするため両足を伸ばし,あおむけに寝る姿勢で乗り,そりの先端を足首で挟んで方向をコントロールする。欧州アルプス周辺の国が強いが,ボブスレーほどの体重を必要とせず,日本選手でも1972年の札幌オリンピックでは4位入賞を果たしている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュージュ」の意味・わかりやすい解説

リュージュ
りゅーじゅ
luge 英語
luge フランス語

選手がそりに背面仰臥(ぎょうが)姿勢(あおむけ)の滑走フォームで乗り込み、足先から氷上コースを滑走し、その速さを競い合う競技。リュージュlugeとは、フランス語で「木製そり」を意味することばである。リュージュ競技は、1964年の第9回冬季オリンピック・インスブルック大会(オーストリア)から正式競技として採用されている。

 スタート時は、リュージュそりに座った状態で、反動をつけてスタートハンドル(スタート地点に設置されている握り手)を押し、直後にパドリング(両手で氷上をかく)動作を数度行った後に、すぐさまにあおむけの姿勢をとり、つまさきを伸ばして滑走していく。滑走中も、そのままあおむけの水平姿勢をとり、空気抵抗を少なくするようにして滑り降りる。そりにブレーキや操作用のハンドルはなく、両足で木製のクーヘとよばれる部分(刃をつける土台)の先端を挟み、要所で押し込むように操作しながら滑走する。最高速度は、トラック(競走路)によって違いがあるが、カナダのバンクーバートラックの場合、男子スタート位置からは時速150キロメートル以上にも達する。

 一般に体重が重いほうが有利であり、選手は負荷重量とよばれる「おもり」をその体重に応じて装着することが許される。このほか、スタート時のそりの刃の温度計測規定(所定の温度を超えると失格になる)など、さまざまなルールに従って競技が進行される。

 そり遊びから発展してきたリュージュ競技には、その使用コースによって、人工凍結コースartificial trackと天然トラックコースnatural trackがある。それぞれに、コース設計や使用するそりなどに違いがみられる。冬季オリンピック大会に採用されているのは、トラックに冷却剤を通すパイピング工事を施した人工凍結コースである。人工凍結コースにおいては、全長1300メートル前後(女子、2人乗りは1000メートル前後)、標高差100メートルほどのコースとなっている。

 冬季オリンピック大会では、男子1人乗り、女子1人乗り、2人乗り、チームリレー(団体戦)の種目が行われる。チームリレーは、2014年のソチ大会(ロシア)から採用され、前走者がフィニッシュした直後に次の滑走者がスタートするもので、3台1チームとなって競技する。3台のそりがリレーしていく形式になるので、たいへんスリリングな競技となっている。

[百瀬定雄]

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百科事典マイペディア 「リュージュ」の意味・わかりやすい解説

リュージュ

木製あるいはプラスチック製のそり,およびそれを使用する競技。フランス語lugeは〈そり〉の意で,英語ではトボガンtobogganという。ボブスレーと並んで冬季オリンピック種目。そりの長さは1〜2.5m程度。あお向けに乗り身体でバランスをとり,ブレーキはないので,手綱と足首でそりを操作する。競技種目は,男子1人乗り,女子1人乗り,2人乗り,チームリレー(団体戦)の4種目がある。全長1000〜1500m,標高差110〜130mの人工氷で固めて作った変化に富んだコースを滑り降りる。オリンピックでは,1964年インスブルックオリンピックで男女1人乗りと2人乗り(性別は問わない)が正式種目となり,2014年のソチオリンピックでチームリレーが追加された。男女ともドイツが強豪でイタリア,オーストリアが続く。
→関連項目そり(橇)冬季オリンピック

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リュージュ」の意味・わかりやすい解説

リュージュ
lugeing

強化プラスチックやグラスファイバなどでできた座席部分に,鋼鉄の刃 (シーネ) のついた木製のランナー (クーヘ) を取り付けたそり。また,そのそりで氷のコースを滑走し,所要時間を競う冬季競技。 1883年スイスのダボスで初の国際大会が開かれ,1913年にオーストリア,ドイツ,スイスが国際そり競技連盟を設立。 1935年国際ボブスレー・トボガニング連盟 FIBT (1923創立) の一部門となり,1955年ノルウェーで第1回世界選手権大会が開催された。 1957年国際リュージュ連盟 FILとして FIBTから独立,1964年のインスブルック・オリンピック冬季競技大会から正式競技となった。日本では歴史が浅く,1962年札幌市が冬季オリンピック開催地に立候補したのを機に選手の育成に着手。 1963年日本ルーゲ連盟が設立され,1966年日本リュージュ連盟に改称し、1986年日本ボブスレー・リュージュ連盟に統一された。コースは,男子で全長 1000~1500m,女子で 800~1050m,標高差は 110~130m,平均斜度は 10°前後で,各種のカーブ,曲折迷路,直線路が設けられ,選手はそりに乗り足を先にして滑りおりることが義務づけられている。種目には男女の各1人乗りと,性別を問わない2人乗りがあり,そりの最大重量は1人乗りで 23kg,2人乗りで 27kgと規定されている。1人乗りは2日間で4回,2人乗りは1日で2回滑走し,その合計タイムで順位が決まる。

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知恵蔵 「リュージュ」の解説

リュージュ

氷を張ったコースを滑走面にスチールをつけた重さ23〜27kgの強化プラスチック製のソリで滑り降り、最高速度は時速140kmにも達する。五輪種目では唯一1000分の1秒まで計測する。種目は男女1人乗りと、男子2人乗りの3つ。下りで加速をつけるだけに、選手の体重は重い方が有利。体重による規制はないが、男子の場合は90kg、女子は75kgを基準体重とし、それ以下の体重の選手は自分の体重と基準体重の差の75%、最大13kg(女子は10kg)まで重りを載せることができる。また競技服は4kgまで認められている。選手は滑走を終えた直後に計量を受け、総重量が公式記録に記入される。スタートは短い下り坂で、選手はスパイクのついた手袋で氷を引っかいてダッシュする。風圧を受けて減速しないようにソリに仰向けに寝て、足首と肩でソリを操作する。

(折山淑美 スポーツライター / 2007年)

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