インスブルック(読み)いんすぶるっく(英語表記)Innsbruck

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インスブルック」の意味・わかりやすい解説

インスブルック
Innsbruck

オーストリア西部,チロル州の州都地名は「イン川の橋」の意。イン川の渡河点に位置し,ローマ時代からイタリア,ドイツ間のアルプス越えの南北交通路 (ブレンナー越え) の要地で,スイス-ウィーン間の東西交通路との交点にあたる。1239年都市権を獲得,1363年ハプスブルク家領となり,1420~1806年同家領チロルの首都として発展。1677年には大学も設置された。産業は織物,ガラスなどの工業もあるが,周囲を高山に囲まれた景勝の地 (574m) で,観光・文化都市としての性格が強く,夏の避暑,登山,冬のスキーなどの基地。市街の中心部はゴシック様式の家が並ぶ中世都市の景観をとどめ,その周囲にはバロック様式の町並みが広がり,繁華街マリアテレジア通りがある。旧市街の「黄金の小屋根」で知られるハプスブルク家の居館フュルステンブルク (1500頃) ,フランシスコ修道会聖堂 (1553~63) ,チロル民俗芸術博物館,州立博物館などみるべきものが多い。北部にはハーフェレカー (2334m) ,ゾルシュタイン (2641m) などがそびえ,壮大な展望が得られる。南郊には 1964年と 1976年の冬季オリンピックシャンツェがある。人口 11万6881 (2006) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インスブルック」の意味・わかりやすい解説

インスブルック
いんすぶるっく
Innsbruck

オーストリア西部、チロール州の州都。人口11万3392(2001)。東アルプスを貫流するイン川の右岸にジル川が合流するあたりにつくられた扇状地上にあり、標高574メートル。南のブレンナー峠によりすでに中世から中部ヨーロッパとイタリアを結ぶ南北交通の要地となり、東アルプスの東西交通との交点にあることから、12世紀には都市の基礎がつくられ、インスブルック(「イン川にかかる橋」の意)の名がおこった。北にカルベンデル山脈、南に中央アルプスを望む優れた風景はアルプス都市の名にふさわしく、チロール地方の観光の中心地として内外の観光客を集めている。冬にはウィンタースポーツの基地としてにぎわう。国際会議、見本市の開催地であり、郊外には軽工業(光学、織物、皮革など)が立地する。市内にはアルトシュタット(旧市街)、民芸博物館、州立博物館、ハプスブルク家ゆかりの王宮と教会、マクシミリアン1世の「黄金の小屋根」、町並みを一望できる「市の塔」(15世紀)など、みるべきものが多い。総合大学(1669創立)、アルプスの高山植物や動物を集めたアルペン動物園もある。1964年、76年の2回、冬季オリンピックが開催された。

[前島郁雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android