ルノー会社(英語表記)Renault S.A.

改訂新版 世界大百科事典 「ルノー会社」の意味・わかりやすい解説

ルノー[会社]
Renault S.A.

フランス最大,世界でも有数の自動車メーカー。本社,ブーローニュ・ビヤンクール(パリ西郊)。

 1898年にルノーLouis Renault(1877-1944)によってルノー兄弟商会Société Renault Frèresとして現在の場所に設立され,乗用車の生産を開始した。ルノーは1909年にアメリカに渡り,テーラー・システムを導入した。第1次大戦中は自動車生産と並行して戦車など軍需品も生産し,生産設備を拡充した。22年に社名をルノー社Renault S.A.に改称,25年には自動車の大量生産工場を建設し,以後鉄鋼,非鉄金属,機械部品など,自動車生産に必要な素材や部品メーカーを多数買収し,生産基盤を固めた。第2次大戦でその工場の80%が破壊され,また戦争中のナチス協力が断罪された。それらの結果45年に国有化され,ルノー公団Régie Nationale des Usines Renaultとなった。戦後は政府の支援のもと,関連メーカーの買収,生産施設の拡大,ヨーロッパでの販売子会社を設立するなど,業務を拡大していった。とくに74年には経営難にあったシトロエン社の子会社を買収,78年にはその会社とルノー公団の子会社とを合併させ,商用車を生産・販売するRenault Véhicules Industrielsを設立した。主力製品は大衆乗用車だが,高級車も1970年代後半から生産するようになった。自動車以外には産業機械不動産売買などを行っているが,比率は小さい。93年からの一連国有企業民営化一環として株式売却が進み,96年民営化された。日産自動車傘下に収め,2004年末にフランス政府が16%,日産自動車が15%の株式を保有する(ルノーは日産の株の44%を保有)。自動車の販売台数は249万台(2004)。売上高407億ユーロ(2004年12月期)。
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