レーンジャー部隊(読み)れーんじゃーぶたい(英語表記)ranger

翻訳|ranger

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レーンジャー部隊」の意味・わかりやすい解説

レーンジャー部隊
れーんじゃーぶたい
ranger

もとは森林警備員を意味したレーンジャーが、アメリカ軍では挺身(ていしん)攻撃部隊の名称として用いられている。イギリスではコマンドcommandoという。

 敵の支配下にある地域に潜入して偵察襲撃、破壊、攪乱(かくらん)、救出などの作戦を行う。このため空路水路からの潜入、山地踏破などの目標到達訓練、爆破、殺害、遊撃などの特殊訓練を受ける。不眠絶食など極限状況下での生き残り(サバイバル)技術も習得する。

 米陸軍歩兵学校にはレーンジャー課程がある。陸上自衛隊も1958年(昭和33)以来、富士学校に幹部特技課程「レーンジャー」を、第一空挺団に幹部・陸曹の特技課程「空挺レーンジャー」を設けており、98年(平成10)までにレーンジャーのバッジを受けた自衛隊員は1万2000人に達している。

 米軍の特殊作戦部隊(通称グリーン・ベレー)はゲリラ戦、心理戦、内乱鎮圧などを実施する常設部隊であるが、レーンジャーは、普通一般部隊のなかに組み込まれていて、正規戦における挺身攻撃を担当する。

藤井治夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レーンジャー部隊」の意味・わかりやすい解説

レーンジャー部隊
レーンジャーぶたい
ranger corps

アメリカ陸軍において特殊訓練を受け,特殊任務をもった奇襲部隊。特殊任務とは,敵をゲリラ戦法で奇襲攻撃すること。その訓練はロック・クライミング綱渡りなど敵地に潜入して隠密裏に奇襲攻撃を行いうるゲリラ戦法に必要なあらゆる技術に及ぶ。レーンジャーの本来の意味は「森林監視人」であるが,歴史的には,アメリカでフレンチ・アンド・インディアン戦争 (1756~63) が起ったときに,イギリス軍が初めて創設した。第2次世界大戦ではアメリカに6大隊のレーンジャーがあったが,1950年以降その戦術的価値の重要性から各歩兵師団に空挺レーンジャー部隊が編成されている。ベトナム戦争でこの部隊の名が有名となった。日本の自衛隊でもレーンジャー訓練は行われ,有資格隊員は多数に上る。

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