翻訳|Rockefeller
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アメリカの石油王。アメリカ的成功物語のヒーローであるが,他方その飽くなき独占支配のやり方によって,多くの社会的批判を受けた代表的企業家の一人でもある。貧しい薬の行商人の息子としてニューヨーク州リッチフォードに生まれ,16歳で農産物仲買商の会計係に雇われるが19歳で独立する。種々の事業に投資しながら刻苦して資金をため,1863年以後のブーム期に石油精製業に進出し,70年には早くも資本金100万ドルのスタンダード・オイル社を設立した。以後のロックフェラーは石油精製事業の全国的統合に乗り出し,異常な成功を収めるが,その成功の秘密は,鉄道会社と特別輸送契約を締結,割引運賃によって他社を駆逐した点にあった。こうして10年足らずのうちに全米石油精製業の9割近くを支配するに至るが,独占に対する社会的批判も強く,92年にはシャーマン反トラスト法違反のかどで解散を命じられる。しかし99年,持株会社組織でニュージャージー・スタンダード石油会社を設立して業界に君臨し続けた。72歳のとき引退,晩年は慈善事業に多額の寄付を行うなど社会活動に専念した。シカゴ大学,ロックフェラー財団などの設立は有名。長男の2世,その長男の3世は社会事業家として知られ,2世の次男ネルソンは副大統領(1974-77)を務めるなど,今日ではアメリカの代表的名家として知られる。
執筆者:鳥羽 欽一郎
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1839~1937
アメリカの実業家。貧しい家庭から立身して1870年スタンダード石油会社を設立し,競争会社の大半を吸収あるいは駆逐して石油業界の支配者となった。晩年引退して巨大な財産の一部を文化事業に提供した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…エクソンは,ジャージー・スタンダードStandard Oil Co.(New Jersey)が1971年社名変更したものであるが,カリフォルニア・スタンダード(スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア),インディアナ・スタンダード,オハイオ・スタンダード等の諸社もあり,これらはかつてはスタンダード・オイル・グループにあったものである。これらの会社の起源は,ロックフェラー財閥の創始者J.D.ロックフェラーが1862年にオハイオ州クリーブランドで始めた石油精製工場であるが,彼は70年には同業数社を糾合してオハイオ・スタンダードStandard Oil Co.(Ohio)を資本金100万ドルで設立した。70年代の激しい競争を〈残酷無比〉といわれるやり方で勝ち抜き,競争業者をつぎつぎに傘下に収めていった。…
…かつてアメリカ石油市場を支配したスタンダード・オイル・トラストの中核会社で,現在のエクソン社,シェブロン社,モービル・オイル社などの石油企業の前身。 起源は,J.D.ロックフェラーが1862年にオハイオ州クリーブランドで始めた石油精製工場であり,70年に同業数社を糾合してオハイオ・スタンダード社Standard Oil Co.(Ohio)を設立した。当初は,リスクの大きい原油探鉱・生産には手を出さずに,もっぱら輸送部門の独占を通じて,原油生産の支配と精製業者の統合を行った。…
…
【国際石油産業の沿革】
[起源と展開]
世界の石油産業の起源は,1859年にアメリカのペンシルベニア州タイタスビルTitusvilleで,石油会社の技師ドレークEdwin Laurentine Drake(1819‐80)が綱式さく井法による石油の生産に成功したことにさかのぼる。しかし70年にJ.D.ロックフェラーがアメリカのクリーブランドにスタンダード・オイル・オブ・オハイオ社Standard Oil Co.of Ohio(〈スタンダード・オイル〉の項参照)を創立したのが,近代産業としての石油産業の始まりといえる。ロックフェラーはわずか10年余りの間にスタンダード・オイル・トラストを結成し,アメリカ全土の石油市場をほとんど独占するに至った。…
…社会の公益,福祉の増進に寄与することを目的に,1913年J.D.ロックフェラーによって設立されたアメリカの多目的財団。近年におけるおもな助成活動として,(1)食糧問題を研究する団体への援助,アジア,アフリカ,ラテン・アメリカ地域の食糧問題で悩む国々の研究活動を助成する〈飢餓の克服〉プログラム,(2)世界の人口問題研究助成事業,(3)ブラジル,タイその他のアジア,アフリカの大学の施設改善,拡張計画などを援助する大学教育プログラム,(4)アメリカ国内における少数民族グループの学校管理者の養成などの〈機会の均等〉プログラム,(5)大気浄化運動その他の環境改善プログラムなどを行っている。…
…デュポン家,メロン家と並ぶアメリカ三大財閥の一つで,石油産業(エクソン社などスタンダード系石油会社)を中心に,鉱山,化学,銀行(チェース・マンハッタン銀行)など多岐にわたる事業を展開している。同時にロックフェラー財団を通じて,とくに医学,農業など自然科学の分野における篤志活動を行っている。とりわけ1960年代の発展途上国の慢性的な食糧不足の克服に貢献のあった新種の種子開発によるグリーン・レボリューション(緑の革命)は,ロックフェラー財団の業績として評価が高い。…
※「ロックフェラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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