ロックフェラー(英語表記)Rockefeller

翻訳|Rockefeller

デジタル大辞泉 「ロックフェラー」の意味・読み・例文・類語

ロックフェラー(John Davison Rockefeller)

[1839~1937]米国の実業家スタンダード石油会社を設立、トラスト形成して独占的に石油業界を支配。鉱山・山林・輸送などにも事業を広げ、一大財閥を築いた。のち、ロックフェラー財団を設立し、教育・慈善事業などを行った。

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精選版 日本国語大辞典 「ロックフェラー」の意味・読み・例文・類語

ロックフェラー

  1. ( John Davison Rockefeller ジョン=デイビソン━ ) アメリカの実業家。ロックフェラー財閥の創始者ニューヨーク生まれ。一八六二年石油事業に進出し、七〇年スタンダード石油会社を設立。八二年会社経営にトラスト方式を案出して石油業界の支配者となり、一九一一年引退まで金融界にも力を伸長。のち慈善事業に専念し、ロックフェラー財団、シカゴ大学、ロックフェラー医学研究所を創設した。(一八三九‐一九三七

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロックフェラー」の意味・わかりやすい解説

ロックフェラー
Rockefeller

アメリカ合衆国の実業家一族。貧困から身を起こし,石油の独占会社スタンダード・オイル・オブ・オハイオをつくって巨万の富を築いたジョン・デビソン・ロックフェラーを頂点に,その息子ロックフェラー2世(1874~1960),さらにその 5人の息子へと続いている。世界的規模の経済活動とともに,政治活動,慈善事業(→ロックフェラー財団)でも有名。ロックフェラー2世は父の諸事業を引き継ぐとともに,慈善事業を発展拡大。彼の最初の妻アビー Abby(1874~1948)はニューヨーク近代美術館の設立者で美術界の後援者として知られた。彼らの長男ロックフェラー3世(1906~78)は父の事業の多くを継ぎ,二男ネルソン Nelson(1908~79)は政治家となって,ニューヨーク州知事などを務め,1974年ジェラルド・フォード大統領のもとで副大統領となった(→ロックフェラー)。三男ローランス Laurance(1910~2004)は自然保護団体を設立し環境保護活動に従事,四男ウィンスロップ Winthrop(1912~73)は 1966年共和党員としては南北戦争以来最初のアーカンソー州知事に就任,五男デービッド David(1915~2017)はチェース・マンハッタン銀行(→チェース・マンハッタン)の会長を務めるなど,それぞれ政界,実業界などで活躍した。

ロックフェラー
Rockefeller, John Davison

[生]1839.7.8. ニューヨーク,リッチフォード
[没]1937.5.23. フロリダ,オーモンドビーチ
アメリカの実業家,慈善家。 1853年ニューヨーク州からオハイオ州クリーブランドに移り,59年クラーク・ガードナー会社に参加。 70年スタンダード・オイル・オブ・オハイオ社を設立し,会長に就任。他会社の吸収,運賃リベートその他さまざまな方法で,79年にはアメリカの石油精製能力の 90~95%を独占する会社に成長させた。 82年スタンダード・オイル・トラストを設立。 99年にはシャーマン反トラスト法に対処して持株会社スタンダード・オイル (ニュージャージー) 社をつくったが,1911年連邦最高裁判所の命令でこれを解体。同年引退。また早くから慈善事業に関心をもち,ロックフェラー財団 (1913) ,一般教育委員会,シカゴ大学 (1891) などを設立した。

ロックフェラー
Rockefeller, Nelson Aldrich

[生]1908.7.8. メーン,バーハーバー
[没]1979.1.26. ニューヨーク
アメリカの政治家。ロックフェラー2世の次男。ダートマス大学卒業。大学では経済学と建築学を学んだ。 1931年ロックフェラー・センター会長,その後ラテンアメリカ担当国務次官補,保健教育福祉次官を歴任し,54~55年 D.アイゼンハワー大統領特別補佐官。 58年 A.ハリマンを破ってニューヨーク州知事に当選してから4選され,その間特に教育,福祉,建設の州政府援助に努力した。 60,64,68年の大統領選挙の有力候補とされたが,前2回は指名前に断念,68年は R.ニクソンに敗れた。 74年8月 G.フォード大統領により副大統領に任命された。ニューヨーク近代美術館の理事,ニューヨーク原始美術館の創立者,館長としても知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ロックフェラー」の意味・わかりやすい解説

ロックフェラー
John Davison Rockefeller
生没年:1839-1937

アメリカの石油王。アメリカ的成功物語のヒーローであるが,他方その飽くなき独占支配のやり方によって,多くの社会的批判を受けた代表的企業家の一人でもある。貧しい薬の行商人の息子としてニューヨーク州リッチフォードに生まれ,16歳で農産物仲買商の会計係に雇われるが19歳で独立する。種々の事業に投資しながら刻苦して資金をため,1863年以後のブーム期に石油精製業に進出し,70年には早くも資本金100万ドルのスタンダード・オイル社を設立した。以後のロックフェラーは石油精製事業の全国的統合に乗り出し,異常な成功を収めるが,その成功の秘密は,鉄道会社と特別輸送契約を締結,割引運賃によって他社を駆逐した点にあった。こうして10年足らずのうちに全米石油精製業の9割近くを支配するに至るが,独占に対する社会的批判も強く,92年にはシャーマン反トラスト法違反のかどで解散を命じられる。しかし99年,持株会社組織でニュージャージー・スタンダード石油会社を設立して業界に君臨し続けた。72歳のとき引退,晩年は慈善事業に多額の寄付を行うなど社会活動に専念した。シカゴ大学,ロックフェラー財団などの設立は有名。長男の2世,その長男の3世は社会事業家として知られ,2世の次男ネルソンは副大統領(1974-77)を務めるなど,今日ではアメリカの代表的名家として知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロックフェラー」の意味・わかりやすい解説

ロックフェラー(John Davison Rockefeller)
ろっくふぇらー
John Davison Rockefeller
(1839―1937)

アメリカの実業家、石油王、ロックフェラー財閥の始祖。ニューヨーク州リッチフィールドで行商人の子に生まれ、のちオハイオ州に移って高校を卒業し実業界に入った。まず農産物の仲買人となり、そこで得た利益を元手に石油業に進出、クリーブランドに精油所を興し、1870年には出資者を得てオハイオ・スタンダード石油会社を設立した。以来10年にわたり激化する競争の過程で鉄道会社と密約を結び、差別運賃やリベートなどの特典をフルに利用することで弱小企業を次々と圧倒し、全国精油業の90%以上を支配するに至った。ついで傘下の企業を統制するため、議決権の集中を図り、顧問弁護士の助言を得ていわゆる「トラスト方式」を採択し、82年スタンダード石油トラストを創設、やがて全産業を席巻(せっけん)する企業合同運動の先駆者となった。一方、彼は石油事業から生ずる巨額の利潤を鉱山、山林、鉄道、銀行などに投資、モルガンに匹敵する一大財閥を形成したが、1911年、トラストを改組した持株会社ニュージャージー・スタンダード石油会社はシャーマン法に違反するとして政府によって告訴され、最高裁により解体を命ぜられた。これを契機に事業を息子のロックフェラー2世(1874―1960)に譲り、実業界から退くとともにロックフェラー財団を設立し、教育、研究、文化などの慈善事業で余生を送った。今日のシカゴ大学もまた彼の寄付によるものである。

[小林袈裟治]

『沢田謙著『世界の慈善王ロックフェラー』(1952・偕成社)』『小原敬士著『アメリカの財閥』(1954・東洋経済新報社)』


ロックフェラー(Nelson Aldrich Rockefeller)
ろっくふぇらー
Nelson Aldrich Rockefeller
(1908―1979)

アメリカの実業家、政治家。石油王J・D・ロックフェラーの孫。ダートマス大学卒業後、ロックフェラー・センター理事、スタンダード石油の在ベネズエラ子会社の役員(1935~1940)を経て、米州問題調整官(1940~1944)、米州担当国務次官補(1944~1945)を歴任、米州の地域的政治・軍事統合を推進する。東西対立が激化するなか、国際開発諮問委員長に就任(1950)、ポイント・フォア計画を具体化、「後進国」の開発構想をまとめる。この後、連邦行政機構改革諮問委員長(1952~1959)、厚生教育次官(1953~1954)、外交問題担当大統領特別顧問(1954~1955)等を歴任。1958年ニューヨーク州知事に当選、1973年まで4期在職。この間三度共和党の大統領指名争いに敗れるが、1974年ニクソン大統領の辞任に伴い副大統領に選任された。

[牧野 裕]

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百科事典マイペディア 「ロックフェラー」の意味・わかりやすい解説

ロックフェラー

米国の大実業家。18歳で委託売買業を始め,1862年石油事業に進出,のちスタンダード・オイル会社を設立,これをもとにロックフェラー財閥を築いた。1911年隠退して慈善事業に従事,ロックフェラー財団はじめ教育施設や研究所を開いた。その子ロックフェラー2世John Davison Rockefeller,Jr.〔1874-1960〕は父の業を継ぎ,慈善事業にも活躍。孫ネルソンNelson Aldrich Rockefeller〔1908-1979〕は政治家で共和党左派に属し,1959年―1973年ニューヨーク州知事。
→関連項目石油産業チェース・マンハッタン銀行[会社]

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旺文社世界史事典 三訂版 「ロックフェラー」の解説

ロックフェラー
John Davison Rockefeller

1839〜1937
アメリカの石油王・大資本家
1870年スタンダード石油会社を創立し,10年足らずの間に全国精油業の9割を支配し,82年にスタンダード石油トラストを形成。さらにニュージャージー−スタンダード石油会社に改組して,再度の反トラスト法適用にも大きな影響を受けることなく,石油業を独占的に支配した。引退後,ロックフェラー財団を設立するなど,慈善事業に多額を献金。なお,事業は一族の者に引き継がれ,モルガン家と並び称され,産業各分野におよんでいる。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロックフェラー」の解説

ロックフェラー
John Davison Rockefeller

1839~1937

アメリカの実業家。貧しい家庭から立身して1870年スタンダード石油会社を設立し,競争会社の大半を吸収あるいは駆逐して石油業界の支配者となった。晩年引退して巨大な財産の一部を文化事業に提供した。

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世界大百科事典(旧版)内のロックフェラーの言及

【エクソン[会社]】より

…エクソンは,ジャージー・スタンダードStandard Oil Co.(New Jersey)が1971年社名変更したものであるが,カリフォルニア・スタンダード(スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア),インディアナ・スタンダード,オハイオ・スタンダード等の諸社もあり,これらはかつてはスタンダード・オイル・グループにあったものである。これらの会社の起源は,ロックフェラー財閥の創始者J.D.ロックフェラーが1862年にオハイオ州クリーブランドで始めた石油精製工場であるが,彼は70年には同業数社を糾合してオハイオ・スタンダードStandard Oil Co.(Ohio)を資本金100万ドルで設立した。70年代の激しい競争を〈残酷無比〉といわれるやり方で勝ち抜き,競争業者をつぎつぎに傘下に収めていった。…

【スタンダード・オイル[会社]】より

…かつてアメリカ石油市場を支配したスタンダード・オイル・トラストの中核会社で,現在のエクソン社,シェブロン社,モービル・オイル社などの石油企業の前身。 起源は,J.D.ロックフェラーが1862年にオハイオ州クリーブランドで始めた石油精製工場であり,70年に同業数社を糾合してオハイオ・スタンダード社Standard Oil Co.(Ohio)を設立した。当初は,リスクの大きい原油探鉱・生産には手を出さずに,もっぱら輸送部門の独占を通じて,原油生産の支配と精製業者の統合を行った。…

【石油産業】より


【国際石油産業の沿革】

[起源と展開]
 世界の石油産業の起源は,1859年にアメリカのペンシルベニア州タイタスビルTitusvilleで,石油会社の技師ドレークEdwin Laurentine Drake(1819‐80)が綱式さく井法による石油の生産に成功したことにさかのぼる。しかし70年にJ.D.ロックフェラーがアメリカのクリーブランドにスタンダード・オイル・オブ・オハイオ社Standard Oil Co.of Ohio(〈スタンダード・オイル〉の項参照)を創立したのが,近代産業としての石油産業の始まりといえる。ロックフェラーはわずか10年余りの間にスタンダード・オイル・トラストを結成し,アメリカ全土の石油市場をほとんど独占するに至った。…

【ロックフェラー財団】より

…社会の公益,福祉の増進に寄与することを目的に,1913年J.D.ロックフェラーによって設立されたアメリカの多目的財団。近年におけるおもな助成活動として,(1)食糧問題を研究する団体への援助,アジア,アフリカ,ラテン・アメリカ地域の食糧問題で悩む国々の研究活動を助成する〈飢餓の克服〉プログラム,(2)世界の人口問題研究助成事業,(3)ブラジル,タイその他のアジア,アフリカの大学の施設改善,拡張計画などを援助する大学教育プログラム,(4)アメリカ国内における少数民族グループの学校管理者の養成などの〈機会の均等〉プログラム,(5)大気浄化運動その他の環境改善プログラムなどを行っている。…

【ロックフェラー財閥】より

…デュポン家,メロン家と並ぶアメリカ三大財閥の一つで,石油産業(エクソン社などスタンダード系石油会社)を中心に,鉱山,化学,銀行(チェース・マンハッタン銀行)など多岐にわたる事業を展開している。同時にロックフェラー財団を通じて,とくに医学,農業など自然科学の分野における篤志活動を行っている。とりわけ1960年代の発展途上国の慢性的な食糧不足の克服に貢献のあった新種の種子開発によるグリーン・レボリューション(緑の革命)は,ロックフェラー財団の業績として評価が高い。…

※「ロックフェラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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