ローズ(Irwin Rose)(読み)ろーず(英語表記)Irwin Rose

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ローズ(Irwin Rose)
ろーず
Irwin Rose
(1926―2015)

アメリカの生化学者。ニューヨーク州生まれ。ワシントン州立大学を卒業後、第二次世界大戦終戦時までアメリカ海軍の無線技師を務める。1949年にシカゴ大学で生化学の博士号を取得。その後、アメリカで初めて設立された国立癌(がん)センターであるフォックス・チェイス癌センターの研究者となった。同センターを退職した後は、カリフォルニア大学アーバイン校医学部生理学・生物物理学科の専門研究員となる。

 イスラエルからサバティカル休暇(研究などのための長期休暇)でフォックス・チェイス癌センターに来たイスラエルの生化学者チカノバーハーシュコとともに、1970年代からタンパク質の分解に関するメカニズムを研究した。その研究でアミノ酸が76個つながっている小さなタンパク質ユビキチンに注目。ユビキチンはアデノシン三リン酸ATP)によって活性化することを発見し、生体で不要になったタンパク質に結合するとそれが合図となり、タンパク質プロテアソームという分解酵素によって分解されることを解明した。このメカニズムが明らかになるとともに細胞分裂デオキシリボ核酸DNA)の修復、タンパク質の品質管理免疫システムなどに関する仕組みもわかるようになった。この業績により、2004年にチカノバー、ハーシュコとともにノーベル化学賞を受賞した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例