ワスプ(英語表記)WASP

翻訳|WASP

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワスプ」の意味・わかりやすい解説

ワスプ
WASP

北米,おもにアメリカ合衆国で,白人 (White) ,アングロ・サクソン系民族 (Anglo-Saxon) ,プロテスタント (Protestant) の3条件を満たしているエリート層のこと。 WASPは上記3つの社会的属性の頭文字をさしている。 1620年アメリカへ『メイ・フラワー』号により移住してきた清教徒たち,ならびに彼らと同じ民族的・社会的属性をもつ民族集団がアメリカ合衆国におけるエリート層とみなされてきた。その意味では,同じヨーロッパ系の白人の移民のなかでも地中海のラテン系白人は,アメリカ白人社会のなかではしいたげられてきた層であった。また従来はワスプは意識上の主流派であるばかりでなく,数のうえでもアメリカ社会の多数派であったが,19世紀後半における大量の非ワスプ系移民の流入により,ワスプは多数派ではなくなった。さらに世代を重ねることにより,ワスプ系白人と非ワスプ系白人や少数民族との結婚が次第に増加し,厳密な意味でのワスプ系アメリカ人の数はかなり減っているはずである。それと同時に一部のアメリカ人 (保守的で伝統主義的な南部のワスプ系白人など) を除いて,意識のうえでも自分が厳密な意味でのワスプであると自負すること自体が特異な状況となりつつある。 1960年の J.ケネディ大統領の当選は初のカトリック系大統領の誕生であり,また 88年の民主党大統領候補デュカキス氏はギリシア系で,アメリカ社会の主流がもはやワスプ系白人のみに独占されていないことを意味することとなった。今日では保守系白人層という概念のほうが,ワスプの概念に代ってアメリカの伝統主義的な白人層の主流意識を的確に表わしていると考えられる。

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知恵蔵 「ワスプ」の解説

ワスプ

WASP」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「ワスプ」の解説

ワスプ〔米海軍空母〕

①《Wasp》アメリカ海軍の航空母艦。1940年4月就役。同型艦なし。1942年の第2次ソロモン海戦で日本軍の魚雷に被雷、自沈。
②《Wasp》アメリカ海軍の航空母艦。エセックス級航空母艦。「オリスカニー」の艦名で建造を開始したが、①の名を引き継ぐ。1943年11月就役。マリアナ諸島侵攻作戦の支援、九州沖航空戦の支援などの任務に従事。1947年退役。

ワスプ〔キャラクター〕

アメリカの出版社マーベルコミックが刊行する漫画雑誌シリーズに登場するヒロイン。体を縮小させ、生えた羽を使って飛行する。同社のヒーロー達が集結する「アベンジャーズ」の創設メンバーのひとり。

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世界大百科事典(旧版)内のワスプの言及

【航空母艦】より

…しかし航空機の急速な発達につれて,主力艦の洋上決戦に先立って,空母搭載機による遠距離先制攻撃で敵艦隊の戦力減殺を図り,艦隊決戦を有利に導こうとする構想が醸成され,これらの空母は,運用実績をもとに幾多の改造を重ねて,しだいに内容の充実した実用空母となっていった。当初から本格的実用空母として計画されたものとして,アメリカのヨークタウンYorktown(約2万トン),ワスプWasp(約1万5000トン),日本の蒼竜(約1万6000トン),飛竜(約1万7000トン)がある。イギリスは,この時期にアーク・ローヤルArk Royal(約2万2000トン)を建造しており,これは艦隊空母として画期的なものとして,以後の主力空母の原型となったといわれている。…

※「ワスプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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