旺文社世界史事典 三訂版「ヴェルサイユ体制」の解説
ヴェルサイユ体制
ヴェルサイユたいせい
ヴェルサイユ条約のほかに,サン−ジェルマン条約・ヌイイ条約・トリアノン条約・セーヴル条約が成立し,戦後約10年間の国際秩序が維持された。これは,イギリス・フランスの主導下に,敗戦国の犠牲の上に立った安全保障体制であり,ソ連敵視の傾向が強く,国際連盟・ロカルノ条約・ロンドン軍縮会議などを通じての国際協調も,この体制の強化をめざしたものであった。ドイツの不満は根強く,国際連盟にアメリカが参加しなかったこともあり,不安定要因を抱えていた。1929年以後の世界恐慌の激化は,この体制の矛盾を表面化させ,ドイツ・イタリア・日本などのファシズム国家の出現と,その侵略的外交の開始によって崩壊した。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報