一分茶番(読み)いちぶちゃばん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「一分茶番」の意味・わかりやすい解説

一分茶番
いちぶちゃばん

落語。別名を「権助(ごんすけ)芝居」「素人(しろうと)芝居」「鎌倉山」という。ある大家で主人の誕生日の祝いに素人芝居を催すことになり、『鎌倉山』を出すことになった。盗賊役が役不足でこないので代役を捜したが、やり手がなく、飯たきの権助を一分で雇った。舞台で縛られると客席から「ざまみやがれ、権助縛られた」と声がかかる。権助は「縛られたように見えても、後ろで縄を持っているだけだ。ほら、このとおりだ」といって踊り出したので、相手の役者が怒って本当に権助を縛り上げてしまった。「さあ、何者に頼まれた。白状しろ」と締め上げると「いててて、番頭さんに一分で頼まれた」。

 茶番とは、素人が即興に寸劇を行うことで、茶番狂言ともいうが、幕末期には民間で大流行した。この落語は、江戸時代に盛行した民間における茶番の一端を知るための生きた資料としての価値をもっていて興味深い。

[関山和夫]

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