デジタル大辞泉 「一所」の意味・読み・例文・類語 いっ‐しょ【一所】 1 一つの場所。ひとところ。1か所。2 同じ場所。同所。「一所に会する」3 「一緒いっしょ」に同じ。「兎も角も―に来て見ろと云うから」〈漱石・坊っちゃん〉4 「一人」を尊敬していう語。→一緒「小松殿の君達きんだち―向かはせ給ひて」〈平家・八〉 ひと‐ところ【一所/一▽処】 1 一つの所。同じ場所。ひとつところ。「―に落ち着けない性分」2 「ひとり」を敬っていう語。おひとり。おひとかた。「兵部卿の宮、なほ―のみおはして」〈源・若菜下〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「一所」の意味・読み・例文・類語 いっ‐しょ【一所・一緒】 〘 名詞 〙[ 一 ] ( 一所 )① 一つの場所。一か所。[初出の実例]「庄園私領一所も相違あるべからず」(出典:平家物語(13C前)一〇)[その他の文献]〔史記‐倉公伝〕② 同じ所。一つ場所。[初出の実例]「家風扇与二好風一還、一処歓遊咲破顔」(出典:田氏家集(892頃)下・暮春宴菅尚書亭、同賦掃庭花自落)「死なば一所で死なんとこそ契りしに」(出典:平家物語(13C前)九)[ 二 ] ( 現在は多く「一緒」と書く )① ( 多く「に」を伴って副詞的に用い、また、「御一緒する」の形でサ変動詞的にも用いる ) 一つになるさま。同じ行動をするさま。また、ひとまとめにするさま。[初出の実例]「あたごは一所御出もあるべきかと」(出典:卓袋宛芭蕉書簡‐元祿元年(1688)四月末カ)「是をも一所(ショ)に西海へつれまいらせんと」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)五)② ( 「に」を伴い ) 同時であること。[初出の実例]「此の幻が消えたと一所(イッショ)に我れしらず顔をあげて」(出典:ありのすさび(1895)〈後藤宙外〉一)③ 同じであること。[初出の実例]「背は彼より低い。肩幅は一緒位だ」(出典:昇天(1923)〈十一谷義三郎〉六) ひとつ‐ところ【一所】 〘 名詞 〙① =ひとところ(一所)①[初出の実例]「みなこれ仏けうのあまたのかどよりわかれいりて、おなじくぼだいのひとつ所にいたりあはむとするなり」(出典:関戸本三宝絵(984)下)「ボンヤリ一つ所(トコロ)を見詰めてゐたが」(出典:善心悪心(1916)〈里見弴〉)② 同じ事。同じ考え。③ ( 「ところ」は接尾語 ) 「ひとり」を敬っていう語。おひとかた。ひとところ。[初出の実例]「つかひ、もてたがへて、いまひとつところへもていたりけり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中) ひと‐ところ【一所・一処】 〘 名詞 〙① 一つの場所。同じところ。ひとっところ。ひとつところ。ひとっとこ。ひととこ。[初出の実例]「此の在次君のひとところに具して知りたりける人」(出典:大和物語(947‐957頃)一四四)② ( 「ところ」は接尾語 )(イ) 「ひとり」を敬っていう語。おひとかた。おひとり。[初出の実例]「ただ一所、深き山へ入り給ひぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))(ロ) 一つの場所、箇所、建物などをいう語。[初出の実例]「新造の院一所山代の郷の中に在り」(出典:出雲風土記(733)意宇) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例