一跡(読み)イッセキ

デジタル大辞泉 「一跡」の意味・読み・例文・類語

いっ‐せき【一跡】

家筋の続き。家系血統
大家の―、この時断亡せんこと勿体もったいなく候」〈太平記三五
後継者に譲るすべてのもの。跡目一式。全財産。
「―を継がせ申したき心中にて候」〈謡・春栄
自分だけのもの。独特のもの。
「身が―のせりふの裏を食はすはれ者」〈浄・嫗山姥

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一跡」の意味・読み・例文・類語

いっ‐せき【一跡】

〘名〙
① 家筋の続き。家系。血統。また、跡目。家督
※太平記(14C後)三五「其上大家の一跡、此の時断亡せん事勿体無く候」
謡曲・春栄(1435頃)「それがし申し請け一跡を継がせ申したき心中にて候」
② 後継ぎに譲る物のすべて。遺産。転じて全財産、身代。
※太平記(14C後)一二「相摸入道の一跡(セキ)をば、内裏の供御料所に置かる」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)三「博奕傾城狂ひに一跡をほつきあげ」
③ 全体。ありったけ。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「ねぢぶくさ取出し、一跡(イッセキ)に八九匁あるこまがねの中へ銭壱弐文入れて」
④ 自分だけが相伝した物。自分の占有。特有。独自。
浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)四「身が一せきのせりふの裏を食はすしれ者」

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