上向(読み)うわむき

精選版 日本国語大辞典 「上向」の意味・読み・例文・類語

うわ‐むき うは‥【上向】

〘名〙
① 上を向いていること。あおむき。あおむけ。うえむき。⇔下向き
※土(1910)〈長塚節〉一四「少し上向に首を傾けて」
※医師高間房一氏(1941)〈田畑修一郎〉二「顔を紐か何かで上(ウ)は向きにひっぱられるやうであった」
② 内実とは違った見かけの様子。うわべ。外見表面
※こんふえっしょなりうむ(懺悔録)(1632)「せめてうはむきになりともころべと頻りに勧められたに依て」
相場物価などが上がる傾向。上行。また、(一般的に)物事調子勢いなどがよくなる傾向。⇔下向き
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八「以前の相場をもて標準とすれば、流石に一割方上向(ウハムキ)なりしかば」

うわ‐む・く うは‥【上向】

〘自カ五(四)〙
① 上を向く。あおむく。
※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉五「鼻孔のやや上向(ウハム)いた〈略〉貝原さん」
② 物事の状態や調子がよい方に向かう。調子が上がる。
③ 相場、物価が上がりはじめる。⇔下向く
江戸から東京へ(1925)〈矢田挿雲一二「主人伝右衛門は懐手をして檜の相場の上向(ウハム)くをぢっと待って居た」

うわ‐む・ける うは‥【上向】

〘他カ下一〙
① 上の方に向ける。あおむける。
熊手提灯(1899)〈正岡子規〉「矢張上向けて大熊手持たやうに差あげて居たのもをかしい」
② 物事の状態や調子をよい方に向かわせる。

かみ‐むき【上向】

〘名〙 お上(かみ)に関すること。公事(おおやけごと)にかかわること。おもてむき。おおやけざま。官辺。役所むき。
随筆・耳嚢(1784‐1814)一「上み向だに済事ならば市郎右衛門方へ宿替の事相談に及び」

うえ‐むき うへ‥【上向】

〘名〙 上を向いていること。うわむき。
※青年(1910‐11)〈森鴎外〉七「たっぷりある八字髭が、油気なしに上向(ウヘムキ)に捩(ね)ぢ上げてある」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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