上無(読み)カミム

デジタル大辞泉 「上無」の意味・読み・例文・類語

かみ‐む【上無】

《それより上の音階は無い意から》日本音楽十二律の一。基音壱越いちこつより十一律高い音で、中国の十二律の応鐘おうしょう洋楽えいハ音にあたる。→十二律

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精選版 日本国語大辞典 「上無」の意味・読み・例文・類語

うえ‐なし うへ‥【上無】

〘名〙 (形動) (多く「うえなしに」「うえなしの」の形で用いる)
① これより上がないこと。無類のさま。
随筆胆大小心録(1808)一三八「八角といふたは、〈略〉つよいこと上なしに、上手の上に悪才ありて」
自分より上の者がいないこと。転じて、租税の徴収者がいないこと。
※観音寺文書‐康正二年(1456)六月二〇日・観音寺仏田目安「一段小、一石五斗加地子、〈無上、作人、坂口介四郎〉」
③ 上の人を恐れず、傍若無人であること。
今川仮名目録追加(1553)二〇条「他国のことく、国の制法にかからず、うへなしの申事、不沙汰曲事也」

うえ‐な・し うへ‥【上無】

〘形ク〙
① それに勝るものがない。最上である。極端である。
古今著聞集(1254)二〇「あはれ逸物や。上なきものなり」
際限がない。きりがない。
六百番歌合(1193頃)恋六「富士の嶺の煙も猶ぞ立ちのぼる上なきものは思ひなりけり〈藤原家隆〉」
③ 自分より上の者がいないように、傍若無人なさまである。制限がなく、勝手である。
幸若山中常盤(室町末‐近世初)「遊君どもをすゑならべ、〈略〉うへなき者のあそびとてあふどめいて酒をぞのふたりける」

かみ‐む【上無】

〘名〙 雅楽十二律の一つ。洋楽の嬰ハ、中国十二律の応鐘の音に相当。転じて、声などのかん高いこと。〔榊原本下学集(室町末)〕
浮世草子・御伽名代紙衣(1738)五「酒きげんの上無(カミム)の調子と、素面の乙(おつ)とは調子が合はぬ、隣家あたりが何事ぞ仕出かしたかと思へば悪い」

かみ‐な・し【上無】

〘形ク〙 これより上はない。最高である。無上である。
※源氏(1001‐14頃)梅枝「いにしへの、かみなききはの御手どもの、世に名を残し給へるたぐひのも」

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