(読み)エイ

デジタル大辞泉 「嬰」の意味・読み・例文・類語

えい【嬰】[漢字項目]

[音]エイ(漢)
赤ん坊。みどりご。「嬰児孩嬰がいえい
まといつく。枠を守って出ない。「退嬰
加える。半音高くすること。「嬰記号

えい【×嬰】

音楽で、本来の音より半音高いことを示す語。「ヘ短調」⇔

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精選版 日本国語大辞典 「嬰」の意味・読み・例文・類語

えい【嬰】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] 生まれたばかりの子。みどりご。嬰児(えいじ)。〔二十巻本和名抄(934頃)〕〔玉篇〕
  3. [ 二 ] 音楽用語。
    1. 邦楽で、五声中の一音を一律、すなわち半音だけ高くしたもの。通常、嬰商嬰羽の二つがある。
      1. [初出の実例]「嬰商 嬰羽。〈略〉今按ずるに、嬰とは、幼弱の義にして、琴絃の名に、少商少羽と云に同き名なるや。出所未詳」(出典:歌儛品目(1818‐22頃)二)
    2. 洋楽で、ある音符に対して半音高いことを示す語。シャープ。嬰記号。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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普及版 字通 「嬰」の読み・字形・画数・意味


17画

[字音] エイ
[字訓] みどりご・くびかざり・かける

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(えい)+女。は纓(えい)の初文で、貝の首飾り。呪具として新生の女子の首に加えた。その子を嬰児という。〔説文〕十二下に「頸なり」とするが、その字には纓を用いる。

[訓義]
1. みどりご。
2. くびかざり。
3. かける、めぐらす、つらねる。

[古辞書の訓]
名義抄〕嬰 カク・カカル・メグラス・メグル・マトハル・ワヅラフ・ナク・ヤドル・アク 〔字鏡集〕嬰 ミドリコ・メグラス・カカル

[語系]
嬰・iengは同声。纓・瓔・iengも同声の語。纓・瓔は首にかけるもの。は首にこぶのできる病。

[熟語]
嬰意嬰懐・嬰・嬰・嬰嬰罪嬰子・嬰児嬰疾嬰弱嬰孺嬰触嬰稚嬰纏嬰年・嬰嬰病嬰耄嬰戮嬰累
[下接語]
嬰・玉嬰・孺嬰・退嬰・纏嬰・童嬰

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嬰」の意味・わかりやすい解説


えい

音楽理論用語。宮,商,角,徴,羽の五音に付して,そのもとの音よりわずかに高い (多くは一律上) ことを示す。嬰商,嬰羽がよく用いられる。 (へん) に対する。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【階名】より

…インド,アラビアにも,それぞれ中国の七声に当たる名称があり,インドネシアにも階名に当たるものもあるが,実際には,略字や数字によって表すことが多い。 日本では,雅楽,声明において中国の五声ないし七声理論を輸入したが,それぞれ独自の理論を生み出しているので,特に角の位置に異同があり,七声としては,嬰という独自の用語を考案して,嬰商,嬰羽などを頻用する。ただし,実際の旋律はオクターブ構造をもたなくなってしまった場合もあって,これらの五声ないし七声の名称は単に理論上のものだけとなっている場合が多い。…

※「嬰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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