日本大百科全書(ニッポニカ) 「上野東京ライン」の意味・わかりやすい解説
上野東京ライン
うえのとうきょうらいん
東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する鉄道路線の愛称。JR東日本の上野―東京間で複線の線路整備が行われたことで、2015年(平成27)3月のダイヤ改正より開始された、東北本線(宇都宮(うつのみや)線)、高崎線、常磐(じょうばん)線と東海道本線を直通運転する運行ルートをさす。
1925年(大正14)の上野―東京間開業時から、同区間には回送線が設けられており、東京駅を発着する東北本線や高崎線、常磐線の一部特急列車や通勤列車、田端(たばた)や品川への回送列車、団体列車などが利用していた。しかし東北新幹線の東京駅乗り入れ工事の際、秋葉原(あきはばら)―神田間付近の線路用地を新幹線に転用したため、1983年(昭和58)以降、これらの列車が上野―東京間を直通することはできなくなった。2000年、運輸政策審議会(現、交通政策審議会)による「運輸政策審議会答申第18号」に2015年までに整備することが適当な路線として同区間が盛り込まれたことで、2008年から「東北縦貫線」のプロジェクト名称で整備が進められた。同路線は、かつての回送線を復活させるものであるが、神田駅付近で新たな用地確保が困難なことから、新幹線の直上に上野東京ラインの線路を構築する重層化が行われた。上野東京ラインの開通により、並行する山手(やまのて)線や京浜東北線の混雑緩和と、首都圏における南北方向の輸送力強化が期待される。
[青木 亮 2016年3月18日]