常磐(読み)トキワ

デジタル大辞泉 「常磐」の意味・読み・例文・類語

ときわ〔ときは〕【×磐/盤】

[名・形動ナリ]《「とこいわ」の音変化》
常に変わらない岩。
皆人の命も我もみ吉野の滝の―の常ならぬかも」〈・九二二〉
永久に変わらないこと。また、そのさま。
大君は―にまさむ橘の殿の橘ひた照りにして」〈・四〇六四〉
常緑樹の葉がいつもその色を変えないこと。また、そのさま。常緑
「―なる松の緑も春来れば今ひとしほの色増さりけり」〈古今・春上〉
[類語]永久永遠とわ永世常しえ常しなえ恒久悠久悠遠長久経常不変永劫永代久遠無限無窮不朽万代不易万世不易万古不易千古不易久しい久しぶり久方ぶり久久しばらくぶり

じょう‐ばん〔ジヤウ‐〕【常磐】

常陸ひたち国と磐城いわき国の併称。
福島県南東部の旧市名。常磐炭田中心であった。昭和41年(1966)いわき市合併。→いわき

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精選版 日本国語大辞典 「常磐」の意味・読み・例文・類語

ときわときは【常磐・常盤】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「とこいわ」の変化した語 )
    1. 常に変わらない岩。転じて、永久に続くこと。また、そのさま。とこしえ。ときわかきわ。
      1. [初出の実例]「皆人のいのちも吾もみ吉野の滝の床磐(ときは)の常ならぬかも」(出典:万葉集(8C後)六・九二二)
      2. 「皇御孫の命の御世を手長の御世と、堅磐(かきは)に常磐(トキハ)に斎(いは)ひまつり」(出典:延喜式(927)祝詞(九条家本訓))
    2. 常緑樹の葉が、年中その色を変えないこと。また、そのさま。常緑。常葉(とこわ)
      1. [初出の実例]「八千種(くさ)の花はうつろふ等伎波(トキハ)なる松のさ枝をわれは結ばな」(出典:万葉集(8C後)二〇・四五〇一)
    3. あてのないこと。めやすのないこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「そんな常盤(トキハ)な咄をせずとたばこでも呑みねへ〈ときわの国にてあてなきうそと云事也〉」(出典:洒落本・穴可至子(1802))
  2. [ 2 ] ( 常盤 )
    1. [ 一 ] ( 左大臣源常(みなもとのときわ)の山荘があったところから ) 京都市右京区中部の地名。双ケ岡(ならびがおか)の南西方にあたる。常盤の里。
    2. [ 二 ]ときわごぜん(常盤御前)」の略。
      1. [初出の実例]「よし朝ははだかときわはうづみ着る」(出典:雑俳・柳多留‐八(1773))

じょう‐ばんジャウ‥【常磐】

  1. [ 一 ] 常陸国磐城(いわき)国との併称。
  2. [ 二 ] 福島県いわき市の地区名。旧常磐市。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「常磐」の意味・わかりやすい解説

常磐
ときわ

永遠に一つの性状を保ち続け変化しない岩石の意。「とこ(常)いわ(磐)」が約された語。転じて、永久不断に変わらないこと、またそのさまをいう。松、杉などの葉が1年を通じて色を変えないことをいい、そのような常緑樹を「常磐木(ときわぎ)」という。同義語に「常磐堅磐(ときわかきわ)」があり、かたい岩石の意を表す「かきわ」は、「かた(堅)いわ(磐)」の約「かちわ」が、「ときわ」に引かれて誤ったものである。

[兼築信行]

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百科事典マイペディア 「常磐」の意味・わかりやすい解説

常磐【じょうばん】

福島県いわき市の一地区。市の中部にあり,1954年市制,1966年いわき市に合併。中心の湯本は,もと陸前浜街道の宿駅,明治中期からは常磐炭田の中心地として発展常磐線が通じ,いわき湯本温泉がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「常磐」の解説

常磐 ときわ

常盤御前(ときわごぜん)梅窓院(ばいそういん)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常磐」の意味・わかりやすい解説

常磐
じょうばん

旧国名常陸 (ひたち) 国と磐城 (いわき) 国の総称。ほぼ現在の茨城県北東部から,福島県南東部にあたる。かつての常磐炭田の所在地で,日立・いわき両市が中心地。

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世界大百科事典(旧版)内の常磐の言及

【常盤の国】より

…戌亥(いぬい)(北西)の方角にある祖霊のいる国で,富や豊饒の源泉と考えられ,燕(つばめ),時鳥(ほととぎす),鶯(うぐいす)などの祖霊の使者とか乗物と考えられている鳥が媒介すると考えられた。〈ときわ(常磐)〉はつねにその性質を変えずに存続する岩の意味であるが,〈とこよ(常世)〉と混同して,ほぼ常世と同意に用いられたものらしい。常世国【山本 吉左右】。…

※「常磐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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