東京都日暮里(にっぽり)から千葉県北西部、茨城県中央部を通り、福島県東部を経て宮城県岩沼(東北本線)に至る東日本旅客鉄道(JR東日本)の線路名称。日暮里―岩沼間343.7キロメートルおよび三河島(みかわしま)―南千住(みなみせんじゅ)間5.7キロメートルと三河島―田端(たばた)間1.6キロメートルの貨物線からなる。日暮里―四倉(よつくら)間、広野―木戸間、大野―双葉(ふたば)間が複線化され(複線化率71.2%、2015年)、取手(とりで)―藤代(ふじしろ)間の交直流切替セクションを境として、以北が交流、以南が直流電化されている。東京―仙台付近間の太平洋岸沿いに走る幹線鉄道で、東北本線のバイパス的な役割をもつ。急勾配(きゅうこうばい)区間がないため、かつては仙台以北の東北方面への特急、急行列車は、距離が若干長くなるにもかかわらず、常磐線経由で運転されるものが多かった。しかし東北本線の電化後はその輸送力が強化されて、その意味での常磐線の役割は終わり、また、常磐炭田の終幕によって石炭輸送にも終止符が打たれた。沿線には、松戸、柏(かしわ)、我孫子(あびこ)、取手、牛久(うしく)、土浦、石岡、水戸、ひたちなか、日立、北茨城、いわき、原町、相馬(そうま)などの都市がある。
日本鉄道が田端―岩沼間を1895~1898年(明治28~31)に開業し(ただし、友部―水戸間は1889年水戸鉄道により開業、1892年日本鉄道に合併)、1905年(明治38)に旅客列車専用の日暮里―三河島間を建設して、1906年国有化された。電化は東京近郊国電区間として、1949年(昭和24)から上野―取手間で電車運転が行われ、1961~1972年に取手以北が交流電化された。また、1971年綾瀬(あやせ)―我孫子間が複々線化されて、営団地下鉄(現、東京地下鉄)千代田線との間に相互乗入れ運転が行われ、1982年取手まで延長された。1987年、日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化に伴い、JR東日本に所属。2011年(平成23)3月の東日本大震災により、一部区間で壊滅的被害が発生したが、同年中に多くの区間が復旧した。2015年3月の上野東京ライン開業により、一部列車が品川まで乗り入れを開始した。2020年(令和2)3月14日、東日本大震災の被害により最後まで不通であった富岡(とみおか)―浪江(なみえ)間が復旧したことで、全線で運転が再開された。
[青木栄一・青木 亮 2020年11月13日]
東北本線日暮里駅(東京都)を起点とし,水戸付近から太平洋沿岸を北上,東北本線岩沼駅(宮城県)に至る343.1kmのJR東日本の営業線。ほかに三河島~南千住間等7.3kmの支線があり,総営業キロは350.4km。おもな経由地は土浦,水戸,日立,いわきの各市である。東北本線とともに表日本の縦貫線的な役割をもつ幹線で,日暮里~岩沼間全体が東北本線の複線的役割も果たしている。距離的には東北本線より長いものの,線路の勾配など運転上有利な点が多く,東北本線の電化前は青森方面への夜行寝台列車で常磐線経由で運転されるものが多かった。また同線は東京付近の取手(とりで)以西では複々線化して,東京地下鉄千代田線との相互直通運転も行っており,首都圏の旅客輸送面でも重要である。常磐線は日本鉄道会社の手により1889年に友部~水戸間が開業,順次延長開業し,日暮里~岩沼間の全通は1905年4月のことで,翌年11月国が買収し,常磐線となった。
執筆者:村山 繁樹
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…華士族の財産(金禄公債など)を鉄道に投資することにより,彼らの物質的地位の安定,ならびに沿線の産業開発をはかることを目的に,岩倉具視らが中心となって,1881年に設立された。当初は全国的な規模での鉄道建設を計画したが,実際に建設したのは現在のJRの高崎線(1884年に上野~高崎間が全通),東北本線(1891年に上野~青森間が全通),常磐線の大部分(1898年に上野~岩沼間が全通)などであった。これらの建設にあたっては,政府は国有地の無償貸下げ,8%の配当保証,用地の国税免除,工部省鉄道局による工事の施行や用員の訓練・補充など,手厚い保護・助成を与えた。…
※「常磐線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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