下作(読み)ゲサク

デジタル大辞泉 「下作」の意味・読み・例文・類語

げ‐さく【下作】

[名・形動]
出来の悪い作品。⇔上作
品が悪いこと。また、そのさま。下品げひん。「下作な話」

した‐さく【下作】

小作こさく」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下作」の意味・読み・例文・類語

げ‐さく【下作】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 地主から土地を借りて、小作料を払って耕作し、農業を営むこと。小作。したさく。
  3. げさくしき(下作職)」の略。
    1. [初出の実例]「又於片子懈怠不法之時者、下作可取返者也」(出典高野山文書‐暦応五年(1342)二月二四日・又太郎田地永作手売券)
  4. 下等な作品。できのわるいもの。⇔上作
  5. ( 形動 ) 品(ひん)が悪く、いやしいこと。げびていること。また、そのさま。下品。
    1. [初出の実例]「大峯葛城那智熊野でけさくもなさぬ此法師、破戒の僧となさんとは何処(いづく)の山の天狗めぞ」(出典:浄瑠璃・本領曾我(1706頃)二)

した‐さく【下作】

  1. 〘 名詞 〙 領主から土地の耕作を請負うこと。地主から土地を借りて耕作すること。また、それをする人。小作。げさく。〔竹内文平氏所蔵文書‐嘉暦元年(1326)一一月日・播磨大部庄百姓申状〕
    1. [初出の実例]「此のわらぶきは忠三郎とて下作(シタサク)あてた小百姓」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下)

した‐づくり【下作】

  1. 〘 名詞 〙したごしらえ(下拵)
    1. [初出の実例]「周阿は大略兼日(けんじつ)より下作をして、てには計(ばかり)を取直てし候ひしと覚候」(出典:九州問答(1376))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の下作の言及

【下作人】より

…田畠の直接耕作者で,その土地の上級得分収取権者である本所・名主・作人(作職所有者)に対し,それぞれ年貢・加地子(名主得分)・作徳(作職得分)を負担する立場にあった農民のこと。彼がその田畠に対して持つ関係は下作職(げさくしき)と表現され,通常これはすぐ上級の所職である作職の所有者からあてがわれるもので,下作人はこれに対して地子の上納と,それを怠った場合はいつ所職を取り上げられてもいたしかたない旨を誓約した下作職請文(うけぶみ)を提出した。1492年(明応1)の弥三郎下作職請文は,彼が真光院領の下地1反の下作を請け負った際のものであるが,これには〈右くだんの御下地は,望み申すにつき候てあづけ下さるる処に候。…

【小作制度】より

…また小農生産力の上昇は手作大経営を縮小させ,その分を小作に出して,いわゆる第2次名田小作の形態を発生させた。【安孫子 麟】
[近世小作制度の諸相]
 近世の小作については最も体系化された地方書である《地方(じかた)凡例録》では,〈自分所持の田畑を居村・他村たりとも他の百姓へ預け作らせ,又は田畑を質地に取り,元地主にても別人にても小作させ,年貢の外に余米又は入米などゝと云て,壱反に何程と作徳を極め作らするを云,元来は佃と云ものなれども,世俗小作と唱へ来る〉と述べており,預作,下作,掟作,請作,卸作,掛け放ちなどとも呼ばれた。小作地の大部分は田畑であるが,屋敷地,山林などの地目も対象となり,一部の地域では牛馬などの家畜も小作の対象となっている。…

※「下作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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