小作料(読み)コサクリョウ

デジタル大辞泉 「小作料」の意味・読み・例文・類語

こさく‐りょう〔‐レウ〕【小作料】

小作人地主に支払う小作地使用料。第二次大戦前は物納が一般的であったが、戦後原則として金納となった。

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精選版 日本国語大辞典 「小作料」の意味・読み・例文・類語

こさく‐りょう‥レウ【小作料】

  1. 〘 名詞 〙 地主から土地を借りて耕作・収益する小作人が、現物(米)または貨幣・労務をもって支払う代償小作米、作米、年貢米、下作米、加地子(かじしまい)、掟(おきて)米、地子(じし)、入(立)付米、地米、宛米、作得米など各地各様の名目があり、その徴収方法も一様ではなかったが、地主に対して貢租年貢)と同時に納める場合が最も多く、また、近世では全収穫量の三分の一前後を普通としたため、明治の地租改正では国家・地主・小作人の取分の比率を三四パーセント・三四パーセント・三二パーセントと定めた。それ以後地主の納入する地租は金納となり、小作料は旧来の物納と規定されたが、第二次大戦後の農地改革によって全部金納に改められた。
    1. [初出の実例]「去年までの同じ小作人が、最早小作料を納めずとも可い身分になったのを見ては」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉続)

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百科事典マイペディア 「小作料」の意味・わかりやすい解説

小作料【こさくりょう】

小作人が土地所有者である地主に支払う借地料。反当り幾らとする定額と,収穫物の何割とする定率の場合があり,米による物納が多かったが,畑では貨幣,米,麦,大豆などによった。額を米で定めそれを時価換算して貨幣で納める代金納制もあった。農地法は物納を禁じ,最高額を制限している。小作料は経済学的には地代に当たるが,小作料と地代が一致するのは小作人が農業資本家の場合で,日本では小作料が労賃部分までくいこんでいるのが普通であった。→金納小作料小作制度
→関連項目永小作小作権

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旺文社日本史事典 三訂版 「小作料」の解説

小作料
こさくりょう

小作人が地主に支払う土地使用料
小作米・年貢・加徴米 (かちようまい) ・加地子 (かじし) などの名で呼ばれた。幕末にはだいたい領主37%,地主28%,小作人35%の取米の割合であったが,1873(明治6)年の地租改正により,地租34%,地主34%,小作人32%,すなわち小作料68%という高率となった。小作料が高率なために小作争議を引きおこし,また農業の発達,社会の近代化を阻害した。農村の困窮は日本資本主義発展の一要因である低賃金労働者の多くを生みだすこととなった。

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防府市歴史用語集 「小作料」の解説

小作料

地主から土地を借りて耕作する小作人が、土地の使用料として納める金品。

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世界大百科事典(旧版)内の小作料の言及

【加地子】より

…加地子の納入は,作人が年貢と加地子の合計額を名主に納め,名主が加地子分を手もとに残して余りを荘園領主に差し出すやり方が本来であったが,作人が年貢,加地子を別個に直納する形をとる場合もあり,時代が下って名主の得分収取者的性格が強まるとともに後者が増加した。なお,江戸時代には小作料を加地子という場合がある。【須磨 千穎】。…

【小作制度】より


【日本】
 日本史研究において使用されている小作制度の意味は,江戸時代中期以降,農地改革まで続いた耕地貸借関係で,近代の農地制度を特徴づけていた制度のことである。なお耕地以外の貸借関係では,山小作・牛馬小作という言葉もあるが,ここでは狭義の小作,すなわち土地所持者たる地主が生産者たる農民(小経営)に耕地を貸し付けて,地代たる小作料をとるという形態に限定しておきたい。小作制度が問題となるのは,それが日本の近代農業を規定し,かつ特徴づけている農地制度だからである。…

【すけ】より

…スケの内容は,岩手県二戸郡のある村の例では,田植,田の草刈り,稲刈りなど,毎年ほぼ一定の日数に決まっている農作業と薪伐り,すす掃き,屋根の草取りなど,必要に応じて働きに出る家事の諸作業であった。スケは一般的には主家から宅地や田畑を貸与されている従属的小作農が小作料の一部として労働力を主家に出すものであるが,必ずしもすべてが小作料として理解できるわけではない。むしろ本家分家に対する庇護と分家の本家に対する奉仕という日常的な相互給付関係のなかでの労働力提供という性格が強いといえる。…

【租】より

…北魏で均田法が行われると,丁男・丁妻に対し一定額の租を課することとなり,唐制では丁当り粟2石を標準とし,8世紀末の両税法採用に至り廃された。近世では地主に納付する小作料を一般に租とよぶ。【池田 温】
[日本]
 古代において田に課せられた税。…

【年貢】より

…ただし河川普請(ふしん)役,助郷(すけごう)役などの夫役(ぶやく)負担は,諸役と称して年貢と区別するのが一般である。なお小作人が地主に納入する小作料や,明治以降の地租を,俗に年貢と呼称することもある。
[年貢の賦課法]
 年貢の仕法は,領主によって差異があるので,以下幕領の場合を中心に本年貢の賦課法をみる。…

※「小作料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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