下染(読み)シタゾメ

デジタル大辞泉 「下染」の意味・読み・例文・類語

した‐ぞめ【下染(め)】

[名](スル)
本染めの前の準備として染めること。混用できない二種以上の染料で染めるとき、その一種でまず染めるなど。下掻き。
物事を思いどおりに運ぶためにあらかじめしておく準備。
「酔うた振りするは口説の―」〈浮・新色五巻書・二〉
生地下地素性
旦那の―はの、重井筒屋といふ南の茶屋の弟で」〈浄・重井筒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下染」の意味・読み・例文・類語

した‐ぞめ【下染】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 本染めをする前に、他の色で染めること。異なった染料で染める時に行なうもの。また、そのように染めたもの。下掻(したが)き。
    1. [初出の実例]「みみなしの山のくちなしえてし哉(がな)おもひの色のしたぞめにせん〈よみ人しらず〉」(出典古今和歌集(905‐914)雑体・一〇二六)
  3. あらかじめしておく準備。
    1. [初出の実例]「『何じゃ子細らしい』と、酔うた振りするは口説の下染(シタゾメ)」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)二)
  4. しんぜん(襯染)
    1. [初出の実例]「唐山元明の才子等が作れる稗史には、おのづから法則あり。〈略〉襯染(しんせん)は下染にて」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九)
  5. 生い立ち。素性。
    1. [初出の実例]「我が身はもとを知るまいが。地体旦那のしたぞめはの。重井筒屋といふ南の茶屋の弟で」(出典:浄瑠璃・心中重井筒(1707)上)

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