化学辞典 第2版 「不純物伝導」の解説
不純物伝導
フジュンブツデンドウ
impurity conduction
ドナーやアクセプターを含む半導体で,電子や正孔が伝導帯や価電子帯を通らず,ドナーやアクセプター準位中の空いたところを飛び石づたいに通って伝導することをいう.この伝導は,一般に低温においてみられるもので,不純物濃度が多くなると,不純物準位にとらえられている電子または正孔の波動関数が重なり合うため,電子または正孔はそこを自由に動きまわることができるようになる.したがって,禁止帯中に一種の不純物帯が形成されることになり,電気伝導が行われる.また,不純物半導体で低温領域における電気伝導率の温度依存性は,添加された不純物による活性化エネルギーに支配され,このときの伝導は不純物から発生したキャリヤーによる.この低温領域における電気伝導を不純物伝導とよぶこともある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報