① 安永(一七七二‐八一)から寛政(一七八九━一八〇一)の頃、江戸市中を流し歩いた二人連れの膏薬売り。また、その膏薬。泉州信田(しのだ)の森の与勘平と称する奴(やっこ)姿の二人が挟箱を持ち、「稲荷御夢想、かたやかいなのいたみに付けたらよかんべい」「疝気寸白(すばこ)にはったらよかんべい」などと言って売り歩いたところからいう。〔随筆・半日閑話(1823頃)〕
② 文楽人形の頭(かしら)の一つ。「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」の与勘平からつけられた名称。時代物に使われ、強がりで無鉄砲な三枚目の端敵役。丸い眼、つき出た額、ふくれた頬という造作で、滑稽味を強調している。