同時に2方面に対して行う作戦で,多くの場合,敵に包囲される態勢にあるか,または腹背に敵のある場合に行われる。敵に対して戦力上絶対優位の立場にあり,十分な自信をもって行う場合と,やむをえず敵に強制されて行う場合とがある。両方面の敵軍を逐次各個に撃破する作戦も,広い意味では両面作戦とみられる。軍の戦力を分散しなければならない点で,多くの場合,両面作戦は不利である。 1936年1月にソ連の M. N.トハチェフスキー参謀総長は,西のドイツ,東の日本に対して,同時に2正面攻撃作戦の実行が可能であると演説し,ソ連軍の両面作戦能力を誇示したことがあった。また第2次世界大戦末期の 45年夏,日本軍は南からのアメリカ軍の攻撃と,北からのソ連軍の攻勢に対し,戦略上の両面作戦を余儀なくされた。