広義には、軍隊が与えられた任務達成のために遂行するあらゆる軍事行動をいう。旧日本陸軍では、師団以上の部隊のある期間にわたる対敵行動の総称として用いた。陸上自衛隊でも近接戦闘や火力戦闘、対空戦闘、兵站(へいたん)などの機能をもつ師団や空挺(くうてい)団以上の部隊によって遂行される一連の行動を作戦という。これは狭義に用いたものである。この作戦の個々の場面で戦闘力を行使することを戦闘という。広義の作戦には戦闘も含まれる。アメリカ軍ではoperationを、広義には訓練、兵站を含む軍事行動一般について使用し、狭義には捜索、機動、補給、攻撃、防御、移動などを含む一連の戦闘行動について用いる。自衛隊もほぼ同じように使う。
広義の用例としては、朝鮮作戦とか電撃作戦、攻勢作戦、突破作戦、防勢作戦などがある。狭義に用いたものとしては、第二次世界大戦における日本軍のハワイ作戦、アメリカ軍のオリンピック作戦(九州上陸作戦計画)などがある。
作戦遂行のための方策が戦略、戦術である。一般に戦略は作戦を対象とし、戦術は戦闘を対象とする。戦略、戦術が現実に適用、具体化されたものが作戦、戦闘なのである。作戦計画とは、指揮官が任務を達成するため、ある状況、条件を基礎として定めた作戦に関する計画をいう。もっとも生起の可能性の高い条件を設定して計画をたてておき、そのとおりの事態が発生したときは計画に従って作戦行動を発動する。異なった事象が発生したときは計画の変更が必要になるが、通常はいくつかの事態を設定して複数の作戦計画をたてておく。
自衛隊法では作戦の語を用いず行動という。それは、防衛出動、治安出動、海上における警備行動、災害派遣、領空侵犯に対する措置の実施などを命じられた部隊などが任務達成のためにとる各種の行動をいう。これについての計画は防衛計画または行動計画と称している。また、これらの行動に関して発せられる命令は行動命令という。
[藤井治夫]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…一般にシステムの計画と運用に関する諸問題を科学的な方法や道具を用いて解析し,その結果を執行者に知らせることにより,意思決定のために有用な情報を提供する方法をいう。
[起源]
第2次世界大戦の直前から戦中にかけて,アメリカ軍およびイギリス軍が作戦研究(オペレーションズリサーチ)に利用したことが直接的な起源である。 1930年代の終りにイギリス空軍のための防空の研究が開始され,ノーベル賞の受賞者である物理学者ブラケットP.M.S.Blackett(1897‐1974)を中心とするブラケットサーカスと称されたグループが,新しく発明されたレーダーを用い,ドイツの爆撃機に対する防御問題や対空火器の照準などに関して研究し,多くの成果をあげた。…
…軍隊が与えられた任務を遂行するために行う対敵行動の総称で,戦闘行動だけでなく,これに付随する情報(偵察),機動,宿営,警戒,後方(補給,整備,衛生等)の諸活動を含むものであって,戦略・戦術を具体化したものといえる。通常は単に〈作戦〉と称する。英語ではoperationであるが,operationの意味はさらに広く,このほかに軍務や教育訓練等をも包含している。…
※「作戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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