中咽頭がん(読み)ちゅういんとうがん(その他表記)cancer of mesopharynx

家庭医学館 「中咽頭がん」の解説

ちゅういんとうがん【中咽頭がん Oropharyngeal Cancer】

[どんな病気か]
 中咽頭とは、口を大きくあけて、鏡で咽頭(のど)を見た場合、口の奥に見える部分です。
 中咽頭はいくつかに分類することができ、上部である軟口蓋(なんこうがい)、後部である後壁(こうへき)、側方にある側壁(そくへき)(ここには口蓋扁桃(こうがいへんとう)があります)、下部である舌根(ぜっこん)(舌のつけ根で、この部分は口をあけただけでは見えません)からなっています。
 それぞれの部位がんができますが、もっともがんの生じることが多いのは口蓋扁桃(こうがいへんとう)のある側壁です。
[症状]
 中咽頭がんが発生する原因は複雑ですが、おもな原因は長期間にわたり強いアルコールを飲んだり、たばこを吸ったりすることです。したがって男性に多い病気です。
 がんが小さいうちは何の症状もありません。ある程度病気が進んでくると症状が出てきます。症状はのどの痛み、飲み込みにくい(嚥下障害)、くびのしこり、のどの異常感などです。
[検査と診断]
 がんを専門領域としている耳鼻咽喉科医(じびいんこうかい)であれば、ふつうの外来の診療でがんを見逃すことなく見つけることができます。
 がんは見た目よりも広がっていることが多いので、CTあるいはMRIによる検査が必要です。
[治療]
 早期に発見された場合は、手術でも放射線治療でもよく治ります。
 がんが進行して発見された場合、治療の中心になるのは手術ですが、手術の前後に放射線治療か化学抗がん剤療法を行なうことがあります。
 中咽頭は食べ物の飲み込み、構音に重要な役割をはたしています。手術によってそれらの機能が悪くなることがありますので、そうならないように再建術を同時に行ないます。
 強いアルコールを飲んだり、たばこを吸ったりする習慣のある人はそれらをやめることが予防につながります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

知恵蔵mini 「中咽頭がん」の解説

中咽頭癌

口の奥の部分で声帯の上から鼻腔の下に位置する「中咽頭」にできる癌のこと。初期症状としては食物を飲み込む時の違和感が多く、次第に、喉の痛みや飲み込みにくさ・しゃべりにくさなどが起こってくる。進行すると、出血・強い痛み・開口障害・嚥下(えんげ)障害・呼吸困難などを引き起こす。癌全体の約0.2%程度の罹患率で、日本では年間1000~2000人程度に発症する比較的稀な癌。50~60代の男性に発症することが極めて多く、喫煙習慣や強い酒を飲み続けることが一因と考えられている。5年生存率は、最も軽いステージⅠで92%、最も重いステージIVで58%程度。2014年7月10日、音楽家の坂本龍一が中咽頭がんと診断され、治療に専念することが発表された。

(2014-7-11)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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