朝日日本歴史人物事典 「中島両以」の解説
中島両以
生年:慶長9(1604)
江戸前期美濃の豪商。72歳のとき『中嶋由来書』『両以由来書』を記す。先祖は紙専売権を持つ地侍として土岐,斎藤氏に従い,両以は,信長,秀吉の代官を勤めたのち,京都に移った祖父両佐の養子となる。元和5(1619)年16歳で美濃に戻り,地主,質商を営み,寛永16(1639)年から飛騨木材の切り出しをはじめ,木曾材の本〆として切り出しを請け負うなど尾張(名古屋)藩の御用商人として経営拡大した。延宝3(1675)年ごろには江戸,大坂,敦賀に定手代を置き,松前,奥州からも俵物や木材を買い付けている。当時の全国市場展開を生き生きと伝える豪商のその後は,墓石を残すのみで不明。<参考文献>『岐阜県史』(史料編近世7)
(伊藤忠士)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報