中村伝次郎(読み)なかむら・でんじろう

朝日日本歴史人物事典 「中村伝次郎」の解説

中村伝次郎(2代)

没年:天明1.9.25(1781.11.10)
生年:生年不詳
江戸中期の劇場振付師。江戸の振付師の元祖志賀山万作直系の志賀山流3代目。道化形の歌舞伎俳優で振付師を兼ねた初代中村伝次郎の次男。後名中村舞扇元文から明和にかけて主に中村座の振付師を勤め,初代中村富十郎の「乱髪夜編笠」,初代瀬川菊之丞の「百千鳥娘道成寺」などの女形舞踊を振り付けた。初代中村仲蔵著『月雪花寝物語』に「振にては四代中村伝次郎舞扇と申候」とあるのは,この2代目伝次郎を指すと思われ,振付師の第一人者に挙げられている。志賀山流の踊りを得意とした初代仲蔵の師としても名高い。没月日は9月22日とも。伝次郎の名跡は5代で廃絶,女性が家元を相続する場合は志賀山姓を名乗る。<参考文献>守随憲治『歌舞伎序説』

(丸茂祐佳)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村伝次郎」の解説

中村伝次郎(初代) なかむら-でんじろう

1673-1729 江戸時代前期-中期の歌舞伎振付師。
延宝元年生まれ。志賀山万作の子。初代中村伝九郎の門弟で,中村伝次郎を名のり道外方(どうけがた)の歌舞伎役者となる。のち父の跡をつぎ志賀山流2代となり,振り付けと舞の名手と称された。享保(きょうほう)14年2月28日死去。57歳。通称は松川庄之助。俳名は舞扇。

中村伝次郎(2代) なかむら-でんじろう

?-1781 江戸時代中期の歌舞伎振付師。
初代中村伝次郎の次男。元文から明和にかけておもに江戸中村座で活躍,当代随一と称された。志賀山流3代もかねた。門人中村弥八,藤間勘兵衛がいる。天明元年9月22/25日死去。初名は中村金蔵。後名は中村舞扇(ぶせん)。俳名は舞扇。

中村伝次郎(3代) なかむら-でんじろう

?-1783 江戸時代中期の歌舞伎振付師。
2代中村伝次郎の子。安永元年3代を襲名丹前物,奴事(やっこごと)を得意とし,鬢(びん)をひくくむすんでいたため奴伝次郎とよばれた。志賀山流4代もかねた。天明3年6月24日死去。

中村伝次郎(4代) なかむら-でんじろう

?-? 江戸時代中期-後期の歌舞伎振付師。
初代志賀山せい(?-1803)の子。志賀山流9代。江戸中村座で振り付けをしたが,くわしいことはあきらかでない。俳名は賀扇。

中村伝次郎(5代) なかむら-でんじろう

中村重助(なかむら-じゅうすけ)(4代)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中村伝次郎の言及

【中村重助】より

…幼名徳之助(一説に勝太郎)。前名5世中村伝次郎。64年(明和1)中村重助の名で中村座に初出勤。…

※「中村伝次郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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