改訂新版 世界大百科事典 「中継器」の意味・わかりやすい解説
中継器 (ちゅうけいき)
repeater
信号を長距離伝送する場合に,伝送路の途中に適宜挿入し,伝送路にて発生した信号の損失やひずみを補償する装置。空間を伝送媒体とする無線中継器および同軸ケーブルや光ファイバーケーブルなどの有線を媒体とする有線中継器がある。また伝送方式によって,アナログ中継器とディジタル中継器に分類される。アナログ中継器は,伝送路の損失やひずみを補償する利得をもつ線形増幅器であり,回路規模は小さいが,中継器を多段接続したときに,各中継器にて発生した雑音やひずみが相加される。おもに周波数多重化信号などのアナログ信号の伝送に用いられる。搬送多重通信で使用される中継器は,伝送路に通信信号と重畳されて送られてくる中継器駆動用の直流電力分離ろ波器,中継回路のばらつきによる線路損失の差を調整する擬似線路,伝送路の周波数特性によるひずみなどを補正する等化器,減衰した信号を増幅する増幅器などから構成されている。ディジタル中継器は,パルスの有無によって情報を伝達するディジタル信号伝送用に用いられるもので,入力信号を増幅し,パルスの有無を検出したのち,その結果に応じて新たなパルスを次の伝送路に再生するものである。回路構成は複雑になるが,多段接続したときにも雑音やひずみの相加はない。この中継器では,パルスの有無を検出すればよく,波形の形状をそのまま増幅する必要はない。検出したパルスを新しい波形のパルスに再生して次の伝送路に送るので,このような中継器を再生中継器という。
執筆者:秋山 稔+金子 尚志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報