改訂新版 世界大百科事典 「串木野鉱山」の意味・わかりやすい解説
串木野鉱山 (くしきのこうざん)
鹿児島県いちき串木野市にある金・銀鉱山。薩摩藩時代から稼行され,第2次大戦中は一時休山し,三井串木野鉱山が経営しているが,鉱量の枯渇と鉱石品位の低下から採鉱は中止され,金・銀製錬のみを菱刈鉱山と薩摩半島にある赤石(あけし)鉱山からの鉱石を入れて行っている。また,坑道の一部を整備するなどして観光事業(薩摩金山蔵)も行っている。中新世のプロピライト化した複輝石安山岩類中に,数十条の浅熱水性割れ目充てん金銀鉱脈が知られている。鉱脈のおもなものは延長2500m,傾斜30~60度,厚さ5~60mの膨縮があり変化に富む。石英,氷長石,方解石などを脈石とし,これに自然金を伴う輝銀鉱を主とする銀黒の縞が見られる。
執筆者:山口 梅太郎
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